第11話 古書店殺人事件
事件現場は
その様子を偶然目撃していた者がいた。
アメリカ人のマット=コーガンである。しかし、外国人である彼は日本人の顔を正確に識別することができなかった。
そんな中、
「右から、
知公は小鼻に皴を寄せ、苛立たし気に警部たちを睨んでいる。大菊はハンカチで口元を押さえている。長竿は飄々と店内を見回している。
三人とも中肉中背の似たような背格好で、眼鏡に出っ歯という特徴が共通していた。
「……それにしても匂うな」
工口が
「……ええ、臭いですね」
朝立も
「コーガンさん、犯人はこの三人のうちの誰かなんですね?」
「イエース、ザッツライッ」
「…………」
エロ警部は胡散臭い外国人の証言に首を傾げつつ、
📚 📚 📚
北極堂の狭い店内は異様な空気が立ち込めていた。
エリカは現場に到着するなり顔を
「……くっさ。朝ちん、何なのこの匂い?」
「いえ、実は事件の目撃者のマット=コーガン氏が殺害の瞬間を見たショックから、その、ビックベンの方を盛大に誤爆してしまいまして……」
朝立巡査がエリカに懸命に説明する。
「おえーッ。だったら換気くらいしなさいよね!」
「警部から現場保存を優先しろとの指示があったので」
「……ふーん。でもお陰で犯人、わかったんだけど」
「本当か? エリカちゃん」
工口がエリカに期待の視線を向ける。
「犯人は長竿太だよ」
エリカが真っすぐに長竿を指差して言う。
「馬鹿な!? どこにそんな証拠が……」
「犯人は犯行の一部始終をコーガン氏に見られていた。それなのに、犯人は目撃者に気づかずに現場から逃走してるんだ。大を漏らしたコーガン氏からは強烈な匂いがしていたにもかかわらず」
「はッ!?」
「知公さんは小鼻に皴を寄せている。大菊さんはハンカチで鼻と口元を押さえている。この匂いの中で平然としていられるのは長竿さんだけなんだよ。多分だけど、嗅覚に何らかの障害があるんだろうね。だからアンタは犯行をコーガン氏に見られていたことに気づかなかったんだ」
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます