34話

金丸の苦しむ姿を見守る月梨の頬には無数の涙が頬をつたう。月梨「かっ、金丸さん!!」金丸「ぐわぁぁぁあ!」あまりの痛みにもだえ苦しむ金丸!金丸「にっ!仁村らぁぁあ!!!」夢の中なのか?意識があるのか?悶絶しながら叫ぶ金丸!!月梨「きゃっ」金丸の寝床の脇で目を伏せる月梨。イザナギ「ツキヨミ!金丸君は今、闘っておる!」月梨はイザナギを見た。イザナギ「手術は無事成功した。しかし、ここからは彼自身の闘いになる。ジッと待つしかないんじゃ。あとは彼を待つしか…」月梨「あっ、あの私…ツキヨミってツキヨミって誰ですか??」イザナギ「んっ!ツキヨミ!なにを言っておる。」月梨「私の名前は月梨です。月梨依美子と申します。ツキヨミではありません。」イザナギ「んー!タケルどう思う?」タケル「母さんじゃないんですか??」月梨「私には子供はおりません。」ミコ「母さん?」ミコはタケルの方を向いて問いかけた。タケル「ミコは生まれて間もない頃だからな。」タケルはポンとミコの頭を撫でた。イザナギ「んーーむ、そうか、あまりに似すぎとるわ。」タケル「母さんはミコが赤ん坊の時に父さんを追って過去井戸に入っていったんだ。」ミコ「それはバァから聞いてるよ。ねぇバァ?」イザナミ「えぇ!そうよ。今、黄泉の湯を持っていくからね。」イザナミは台所から答えた。イザナミは黄泉の湯を金丸の傷口の脇腹にかけた。黄泉の湯はキラキラしていた。金丸「ぐわぁぁぁあ!」叫ぶ金丸。イザナギ「そう、あれはミコが赤ん坊の頃じゃった。タケルとミコの父親であるアマテラスは偶然、男の子が過去井戸に落ちて行くところを見てしまったのじゃ、正義心の強いアマテラスは通称未知の井戸である過去井戸と知りながらも救出の為に過去井戸に入っていってしもうたのじゃ。イザナミはそれを目撃しておる。そして、またツキヨミもアマテラスを追いかけるように過去井戸に入ってしまったのじゃ。」タケル「母さんは7日間、父さんの帰りを待ったんだ。でも、7日経っても父さんが帰ってこないのを心配して、入ってはいけない過去井戸に入っていったのさ。」タケルはミコに話した。月梨は困惑した表情でいる。月梨(一体何が起こっているの?私は夢を見ているのかしら…ツキヨミ、イザナギって神話よね?なんなのこの世界…)。イザナギ「すまんかった、すまんかったの月梨さんとやら…つい似ていたものですから。」月梨「とっ!とんでもございません。」イザナギ「タケル、大丈夫か?お主も危なかろう?」イザナギはタケルの身体も心配していた。タケル「えっ、えぇ!少し横になっています。」イザナギ「今回の手術はどちらかが危うくなるやもしれぬ。下手するとどちらも助からん可能性もあるのじゃよ。」イザナギは今回の手術の大変さを話した。イザナギ「過去井戸は古の井戸ともいい、幾つかの呼び名がある。世界の謎でもある。過去井戸探索チームは井戸が地下6000メートル以上ある事を掴んでおる。しかし、中身は未だ解明されておらん。探索チームのハワードカーターというものが過去井戸に自ら入っていったが彼は未だに帰ってこないんじゃ。」月梨(ハワードカーター、ハワードカーター?ってどこかで聞いた事ある名前ね…あっ!たしか、エジプトよ!ツタンカーメンの墓を発見した人だわ!そうそう、明治時代の考古学者よハワードカーターって。)イザナギ「ハワードカーターの勇気は息子であるエドワードカーターが継いでおる。しかし、エドワードは父の帰りを待つ一方、未だに過去井戸を解明でぎずにおるのじゃ…」

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