第25話

金丸耕平は気絶していた。人生で始めての殺し合いをしたからだ。彼は無意識の中、夢を見ていた。

金丸「仁科!行くな!!行くな仁科!そっちじゃない!」金丸は無意識の中で大きな声で叫んでいた。

金丸の乗る白い狼は猛スピードでイザナギ家に向かっていた。ミコも親狐に乗って自宅に向かっていた。その背中には月梨も乗っている。彼女の目には大粒の涙が流れている。その手には藪にあげたネクタイを持っている。


玄関に着いた白狼は鳴いた。するとすぐさまタケルが玄関の扉を開けた。タケル「かっ金丸さん!…、血だらけじゃないか!!」イザナミ「まぁ大変!」田村麻呂「な!なんと!」イザナギ「タケル!!すぐに用意じゃ!」タケル「はい!伯母様!術後には黄泉の湯を!」イザナミはタケルに言われたように家の裏の大浴場に向かっていった。イザナギは白衣に着がえいた。タケルは大急ぎで医療道具をテーブルの上に並べ始めた。タケル「田村麻呂!彼をソファーの上に運んでほしい!」田村麻呂「拙者が出来る事があるならなんでもしよう!タケル殿がいなければ拙者生こうておらぬ!!」田村麻呂は大嶽丸との戦いで恩義を感じていた。

イザナギ「こりゃいかん!ギリギリの所じゃ!」イザナギはタケルの方をじっと見た。イザナギ「身体の血がほとんど出ておる!タケルよ分け与えれるか?これでは助けれん」タケルは迷わずうなずいた。田村麻呂「それなら拙者の血をつこうて下さい!」イザナギは田村麻呂の方へ向かい、手首を軽く切った。イザナギ「結合しておらん。」田村麻呂「結合ですと!?」イザナギ「うむ、血は血で合わせる必要があるのじゃ。」タケルはソファーの前に寝そべった。イザナギは手術を始めた。田村麻呂は祈るように見守り始めた。


ミコ「ただいまー!」イザナギ「おぉミコか!今はちょっと大事じゃ」ミコ「おじさん治りそう?」月梨「おっお邪魔します。」イザナギ「んっ?!」イザナギは手術をしながらミコと話しをしていた。すると月梨の方を見ると、持っていたメスを落としてしまった。

チャリーン、床に落ちるメス


イザナギ「ツキヨミ!!」タケル「カッかあさん!」イザナギ「ツキヨミ!何しておる!?」月梨「!?」月梨はびっくりしている。ミコ「母さん?」ミコは不思議そうにタケルを見た。イザナギ「タケル後じゃ!今は手術じゃ」タケル「はい!」イザナギは我に帰ったようにタケルに言った。





表の世界では女子中学生殺人事件の犯人が捕まっていた。仁村は芝井に捕まった後、警察署で様々な取り調べを受け、女子中学生の制服から採取された毛髪が、仁村と一致したのであった。仁村はその後、留置所で首を吊って死んだ。その額には金丸のつけた傷跡がくっきりと浮かんでいた。


川下「やっぱり怪しいと思ったんや。」八神「それを言うなら見つけたのは私ですよ!」川下「見つけたのは芝井やろワッハっハッハ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る