第32講 印欧語族話者が、同語族内で「マルチリンガル」を名乗るなら

第32講 印欧語族話者が、同語族内で「マルチリンガル」を名乗るなら


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甲:今は英語圏でも、英語以外に、二つか三つの言語を話せるようになるため、学ぶことが普通らしい。


kou : ima wa eigo-ken demo, eigo igai ni futatsu/hutatsu ka mittsu no gengo wo hanaseru youni naru tame, manabu koto ga futsuu/hutsuu rashii.



乙:でも、印欧語族話者が、同語族内で「マルチリンガル」を名乗るなら、それは方言みたいなものだから、そこまで難しい話というわけでもないだろうけどね。


otsu : demo, in-ou gozoku washa/wasya ga, dou gozoku nai de "multilingual" wo nanoru nara, sore wa hougen mitaina mono dakara, sokomade muzukashii hanashi toiu wake demo nai darou kedone.



甲:我々日本人になぞらえれば、関東方言、関西方言、九州方言を覚えた程度で、「マルチリンガル」を名乗るようなものだろうからな。


kou : wareware nihonjin/nipponjin ni nazoraereba, kantou hougen, kansai hougen, kyuushuu/kyuusyuu hougen wo oboeta teido de, "multilingual" wo nanoru youna mono darou kara na.



乙:似たような条件なのに、印欧語族話者は、「マルチリンガル」を名乗ることが出来て、我々日本人が、「マルチリンガル」を名乗ることが出来ないのは、不公平だと思うけどね。


otsu : nitayouna jyouken nanoni, in-ou gozoku washa/wasya wa, "multilingual" wo nanoru koto ga dekite, wareware nihonjin/nipponjin ga, "multilingual" wo nanoru koto ga dekinai nowa, fukouhei/hukouhei dato omou kedone.


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【解説】

 印欧語族全体を方言のようなものと断言するのが、かなり乱暴な議論であることは百も承知ですが、それでも、印欧語族話者にとって、同じ印欧語族の言語が方言程度の差だと思うぐらい、それだけ、日本語はかなり特異な言語であり、彼らにとって、「本物の」外国語だと思われているということです。

 一方、日本語話者にとって、同じ語族の似たような言語は殆ど無いため、言語習得の初学時における敷居の高さは、どうしても相対的に高くなってしまうこともまた、事実であり、その裏返しであるといえるのです。


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【追記】

 「二つ」は、ヘボン式「futatsu」と訓令式「hutatsu」の二通りの表記が存在するので、両者を「futatsu/hutatsu」と併記することにしました。

 「普通」は、ヘボン式「futsuu」と訓令式「hutsuu」の二通りの表記が存在するので、両者を「futsuu/hutsuu」と併記することにしました。

 「話者」は、ヘボン式「washa」と訓令式「wasya」の二通りの表記が存在するので、両者を「washa/wasya」と併記することにしました。

 「九州」は、ヘボン式「kyuushuu」と訓令式「kyuusyuu」の二通りの表記が存在するので、両者を「kyuushuu/kyuusyuu」と併記することにしました。

 「不公平」は、ヘボン式「fukouhei」と訓令式「hukouhei」の二通りの表記が存在するので、両者を「fukouhei/hukouhei」と併記することにしました。

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