第16講 思考停止して、カタカナ英語をそのまま使うな!

第16講 思考停止して、カタカナ英語をそのまま使うな!


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甲:最近、一部の舶来被れが、カタカナ英語を多用し過ぎているよな。「エビデンス」とか、「ガバナンス」とか。既に、「証拠」や「統治」という言葉があるのに。


kou : saikin, ichibu no hakurai-kabure ga, katakana eigo wo tayou shisugite iruyona. "evidence" toka "governance" toka. sudeni, "shouko" ya "touchi" toiu kotoba ga arunoni.



乙:技術や制度の進歩に対して、和訳の速度が追いついていないから、らしい。IT業界とか、特にその傾向が顕著だね。


otsu : gijyutsu ya seido no shinpo ni taishite, wayaku no sokudo ga oitsuite inaikara, rashii. IT gyoukai toka, tokuni sono keikou ga kencho dane.



甲:「思考停止して、カタカナ英語をそのまま使うな!」と言いたい。いくら過渡期とはいえ、現在の専門家は、少し怠慢じゃないか?


kou : "shikou-teishi shite, katakana eigo wo sonomama tsukauna!" to iitai. ikura katoki towaie, genzai no senmonka wa, sukoshi taiman jyanaika?



乙:現在、日本語で高度な教育が受けられるのは、明治維新の先哲達が翻訳してくれたおかげだからね。


otsu : genzai, nihongo de koudona kyouiku ga ukerareru nowa, meiji-ishin no sentetsu-tachi ga honyaku shitekureta okage dakarane.



甲:カタカナ英語をそのまま使っている、舶来被れの連中は、明治維新の先哲達の顔に泥を塗るつもりか!


kou : katakana eigo wo sonomama tsukatteiru, hakurai-kabure no renchuu wa, meiiji-ishin no sentetsu-tachi no kao ni doro wo nuru tsumori ka!



乙:今は、中国でさえ、自国の言葉に翻訳しているというのにね。


otsu : imawa, chuugoku desae, jikoku no kotoba ni honyaku shiteiru to iunonine.


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【解説】

 最近、やけにカタカナ英語が増えた気がします。戦前のように、「英語は敵国語」とまでは言いませんが、極端に逆の方向に行き過ぎた結果、気障な舶来被れが、少し調子に乗り過ぎた感が否めません。

 発展途上国は、英単語を翻訳できる自国語が存在しないという理由で、大学の講義は英語で行われています。

 我々が現在、日本の大学で、母国語である日本語で講義を受けられるのは、明治維新の先哲達が翻訳してくれたおかげであり、それこそが、日本を先進国にした理由でもあるのです。

 技術や制度の進歩に対して、和訳の速度が追いついていないからと、思考停止して、カタカナ英語をそのまま使っているとしたら、現在の専門家は、怠慢といわれても仕方ありません。

 例えば、「哲学」や「民主主義」等の日本が英語を和訳した漢語をかつては、逆輸入していた中国ですが、現在は、日本ではそのままカタカナ英語として使っている、「アップロード」や「ダウンロード」を、「上載」や「下載」のように翻訳しています。

 一方、何でも漢字にすればいいというものでもありません。例えば、アメリカは米が特産品というわけでもないのに米国、フランスは仏教国でもないのに仏国、と書いていますが、本来の意味から乖離している単語を使い続けるのは、如何なものでしょうか。

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