応援コメント

「第505話 最高峰のわがままとヘルパーバラダー」への応援コメント

  • おじい大ハッスルw
    元気が有り余ってるなぁ。

    ガス抜きで流れが変わるかな?
    変わらなかったらおじいの国落としが始まっちゃうwww

    どちらにせよベイルさん胃痛待った無しw

    作者からの返信

    「局長の武勇伝?」
    「そ。前にベイルさんたちがチラッと言ってたやつ」
    「マイムがいる時の話だったっけかそれ」
    「あたしの地獄耳は次元を越える」
    「追求するとバカを見るのはもう分かってるからなぁ。局長の武勇伝ってのは色々とあるさ。なにせ俺たち冒険者ギルドもまとめて束ねるお方だからな」
    「魔術士ギルドも頭があがらない」
    「それは単純な立場の話かもしれんが、そんなだから腕っぷしも確かだ」
    「でも亜神を前にそっこーで跪いてた」
    「あの辺に喧嘩を売るのは自殺志願者だけだろ。まあタイムリーな話だと剣神様との大立ち回りだろうな」
    「大立ち回りってことは勝った?」
    「いーや、負けたはずだ。それでもだ、1番気力も体力も充実して脂の乗ってた剣神様に挑んで、事実上の勝利はもぎ取ったって話だ」
    「勝ったの負けたの?」
    「剣神様は冒険者ギルドに在籍していたころは、強さを求めてダンジョン攻略にばかり挑んでいたそうだ。王都付近にあるダンジョンで、当時は誰も攻略が出来るなんて思ってなかった」
    「ふんふん」
    「地下階層に下りればまともに魔物を倒すことだって難しい。誰かしら犠牲を出すことになる。単純に力も頭数も足りないわけだ」
    「剣神のおじいでも難しい……」
    「その当時はまだ中年だった剣神様だが、取り憑かれたように研鑽を重ねてきただけあって、他のメンバーより頭ひとつもふたつも抜きん出ていたそうだ。それでもダンジョンの魔物に苦労するなかで、外で受けた別の任務でその目に取り返しのつかない傷を負った」
    「失明した理由はあたしが何回聞いても教えてくれない」
    「誰が聞いても、だ。まぶたにも眼球にも目に見える傷はないのに、傷だって言い張っているそうだが」
    「それで、あたしが聞きたいのはバラダーさんの武勇伝」
    「まあまて。目の光を失った剣神様はその理由も話さないし、ひどく憔悴していたらしい。で、当時はまだ現役でもあった局長が治安維持局局長に就任したばかりのことで、そんな矢先に最高戦力のひとつをみすみす失うわけにはいかないって、連日訪問して励ましたわけだ」
    「職務に忠実。あたしならそんなの知らないって言ってアイシャちゃんとフェルパちゃんを囲ってハーレムやってる」
    「お前に権力を与えちゃダメなのは
    分かった。で、どう励ましてもその気にならない剣神様に局長は殴りかかったんだそうだ」
    「老人虐待」
    「だからその時は中年で実のところ剣神の称号をもらう前でもある。その当時の剣神様は殴られて地べたに転がったそうだが、なんというか剣神様らしいというか『こんなに弱っている人間に手をあげるとは、新しい局長はなんという人でなしか』って言って凄んだそうだ」
    「ぐずって殴られて文句を言う中年……」
    「やめろ、ダメ人間みたいに言ってやるな。それで局長もやめればいいのに、まだ殴る。もうひとつ殴る、蹴るとやりたい放題でな。いよいよたまらないと剣神様は必死で避けるわけだ。いかに剣神様とはいえ、どこからくるか分からない攻撃に万全の守りなんて出来るわけもなく、相当な猛者だった局長の拳は効いたそうだ」
    「真っ暗闇で襲われたら誰でも泣く」
    「でまあ、剣神様もそんな日が何日か続けば復讐心に火がつくわけだ。なんとか目が見えなくてもって鍛えたそうだ」
    「魔力視……」
    「ああ、それ自体が希少なほどの技能だし身につけるには生半可な覚悟では無理だ。抗えない環境に身を置くか、よほど興味を持って集中してしまうような事をするか、だが」
    「剣神と呼ばれるほどのひとの特訓……ゴクリ」
    「あー、夢を壊すようでアレだが……当時の剣神様は腕っぷしもそうだが夜のほうもすごかったらしくってな」
    「夜? ほう?」
    「触って形を知り、温もりも手触りも分かるけども目が見えないことに局長に対するのと同等の憤りをぶつけたらしい。それから少しして“開眼”したとか」
    「夜ってなに?」
    「そこからの剣神様の復活は神がかっていたらしい」
    「夜とは?」
    「人間族もギルドカードの恩恵で魔力を扱える者がほとんどとなり、世界もまた魔力を纏っている。それは目が見えていたときよりも──」
    「ねえ、夜ってどういう意味」
    「視力を失った剣神様の復活は、鮮烈で苛烈を極めたものだったらしい。誰が止めても聞かず足を止めない剣神様はダンジョンの地下階層をずんずんと進んでいく。相変わらず目は閉じたままなのに魔物をものともせず倒していく姿に、周りのギルド職員も入れ替わり立ち替わりで物資を供給したり、時には代わりに犠牲になったり」
    「夜って!」
    「剣神様が進む道を支えた者のなかには局長もいた。というか最奥までついていけたのが局長だけだった」
    「へいおシリっ! 夜の意味!」
    「そこでダンジョンの主と出会い、局長が力添えしつつ見守るしかできなかった戦いを、剣神様は見事に勝利したそうだ」
    「夜とは太陽が沈んだあとの……」
    「その頃にはあとから追いかけていた連中も合流してな。みんな分かったそうだ、剣神様がやったってな。そこで局長ともこう、グータッチをして……」
    「人々が眠る時間で……」
    「いい雰囲気で終わるかと思ったときに、剣神様がその時まで魔力視が出来た喜びに興奮して忘れてた局長への復讐心が呼び覚まされて──ぐはあっ⁉︎」
    「夜ってなんのことなのぉっ!」
    「マイムっ、お前その手に魔力を凝縮させてぶん殴ってくるだなんて……ぐふっ」
    「……これがあたしの新しいチカラ──魔闘士。明けない夜があたしを覚醒させてしまったのだ……」