おまけ
イセイロ小話 #名前の当て字
虎隆さんの御宅にて、私は、気になったことを尋ねてみた。
「あの、
「ん、どしたラン。何か用か」
「銭湯の暖簾に書いてある“
「ああ、カッケーだろ? 俺が考えたんだぜ」
そんなことは、百も承知だ。
虎隆は、適当にノートと筆記用具を持ってきて、机の上に広げた。
「そもそも、この町レインホークは、こう書く」
『麗音火於駒』
「……なんか、無茶苦茶ですね」
「ヤンキーなんかがよくやってるやつだよ。ヨロシクを『夜露死苦』とか、
アイラブユーを『愛羅武勇』てやったりな」
「怖。『愛羅武勇』って、なんだか人の名前みたいですね」
「そんな変な名前のヤツがいるかよ。くだらねぇ漫画の変人ぐれーだろ」
そういうキャラに確かにいそう。
「他には何かありますか?」
「そうだな、ダストホークは、『
「悪そうだけど、なんだかカッコいいです」
「それが男のロマンつうもんだ」
男のロマン……。
「あと、チームの隊長、副隊長の名前は大体が、俺がつけたやつでさ。そいつらの当て字も考えてあるぜ」
「じゃあ、マムくんは」
「マムは、『
「母に“ま”って読み方あります?」
「母は英語で、マムっていうだろ。そこからくる場合もあるぜ」
「日本語の域、超えてますね」
「次、副隊長のクレームは、『
だから、甘いお菓子の名前から取ったのか。結局、良い意味じゃないな。
「土隊隊長のカクタスは、『
「はー、なるほど」
「副隊長のラブラは、『
「また英語からですか」
「シャレてるだろ?」
「……そうですね」
馬鹿馬鹿しいというのが本心である。
「ラブラは、犬のラブラドールから取ってる。あいつカクタスにめっちゃ従順で犬みてぇだからな」
「可愛らしいですね。というか、『愛羅武』と同じ漢字じゃないですか」
「言われてみれば、そうだな」
意図無しか。
「火隊隊長のイナは、ライオンのイオをイナに変えただけ。当て字は、
『
「カッコいい。イナちゃんっぽくていいですね」
「イオは、イオだ。漢字は『
「まさに、ライオン!」
「こういうのは、お前の性に合うか」
「はい」
「風隊のヌクレオは、姉ちゃんの教科書読んでて、気になった単語を使ったんだよな」
「へえ」
「漢字に当てると、『
「すごい」
画数多くて大変だな。でも、ヌクレオさんらしくはあるか。
「副隊長のチドは、ヌクレオチドのチド。『
千の努力。彼女にぴったりな当て字だ。
「メンバーの名前はこんな感じだな。闇隊の二人は俺がつけた名前じゃねーし、つけてねーな」
ローカーさんと、ジョーピエさんか。
「じゃあ、私、つけてみます」
「おう、やってみな」
まずは、ローカーさんか。ピエロみたいな人だから……
『
お洒落な字面になった。
「悪くねーな」
次は、ジョーピエさん。トランプのジョーカーみたいない人……
『
“ぴ”は迷った。
「おお。いいんじゃねーか?」
「モモちゃんにもつけてみよ。あ、でも、普通に“桃”だ……」
「『
「可愛い♡ モモちゃんにぴったりです!」
「当て字、面白ぇだろ」
「ですね!」
異世界を彩る転生者 桜野 叶う @kanacarp
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