第4話 変化の義
入学試験の後、推薦剣を変化させる、通称変化の儀が行われた。
変化の儀の出席者は、俺と理事長、副理事長に生徒指導の先生、そして俺の親(親父不在)だ。
俺は、儀が始まる前に、推薦剣とフユを学校側に預ける。
推薦剣は儀式の進行の仕方より、フユは良い機会なので鑑定して貰おうと言う意味で預けた。
最初に理事長先生から、俺の親父を知っているのか、ちょっとした小話をした後、テンプレートかのように、合格した推薦性に送る言葉を読み上げた。
「上野太一、貴殿は推薦生としてこの冒険者育成学校の入学試験を突破した事を認め、特待生として歓迎する」
俺を除いた、その場に居る全員が大きく拍手をした。
そして話が終わり次第、あらかじめ用意して合ったかの様に、とても高価そうな台座が、顔を隠し黒一色の服を纏った者よって運ばれてくる。
理事長は、それが床に丁寧に置かれ、何も問題がない事を確認すると、無言で頷き、太一が変化の儀を行う前に、学校側に渡した推薦剣が、先程と同様の者によって運ばれてくる。
俺はそれを受け取ると、儀が再開する。
「それではこれより、変化の義を開始する。上野太一は、その台座に今自分が最も必要とする剣を思い浮かべ、縦に刺せ」
そう言われて、俺は今最も欲しい件を思い浮かべる
改めて言われると悩む、誰かを守る……ならばフユが居る、ならば物理的ではなく間接的に……強さで守る。
抽象的ではあるが、俺の欲しい剣は決まった。
誰かを守れる位——強い剣!!
俺は強く決心し剣を台座に刺す、すると、台座は強く光り、推薦剣はヒビが入り、段々と当たりが眩い光に包まれ、そして——
光が収まると、台座の中心には……
……は?
俺含む全員が何が起こったんだこれはと困惑していると、鑑定書がひらひらと舞い落ちてきた。
心の逃げ所でも作りたかったのか、俺はそれを勢いよく取り、それを読む。
〔名前〕(未定)
〔ランク〕測定不能
〔レベル〕1
〔熟練度〕1
〔スキル〕
『挑発』相手の武器が強い程、挑発度が上がり、高ければ高い程、相手の冷静さを奪う(自動発動)
『鉄下駄』自分に負荷を掛けることができる(ON、OFF切り替え可能)(調節可能)
『貫通無効』あらゆる攻撃を弾くことができる(扇が完全に開いている時に発動)(自動発動)
『涼しげな一撃』叩いた所を中心とし、大きな衝撃を与える(熟練度が高い程、効力が上がる)(扇を閉じた状態で発動可能)(任意発動)
『見通す者』選んだ対象の能力を鑑定する事が出来る。(任意発動)
それを覗き見た理事長は、「うっそだろお前……」みたいな顔をしていた。
当たり前だ、この短い期間で剣以外でモンスターに対抗できる武器を二つも見つけてしまったのだから。
それになんなんだこの扇は、ランクが測定不能になっているが、防御も攻撃も出来るという時点で、明らかに強い。
理事長がなんて生徒を抱えてしまったんだと顔を真っ青にすると、トドメを刺すかの様に、フユの鑑定結果が出る。
「た、大変です!! 以前測った時より……強くなってます!?」
「「はぁ?!」」
俺と理事長は声を合わせてそれに答えた。
恐る恐る鑑定書を見る。
〔名前〕フユ
〔ランク〕E(S)
〔レベル〕10
〔親密度〕100(MAX)
〔耐久力〕1000(時間経過で回復、1時間に10回復)
〔スキル〕
『忠誠+』主人の命令によるモーションに++補正(常時発動)
『完璧なる主従関係+』主人の命令によるモーションに++補正(親密度MAX時使用可能)(常時発動)
『テレパシー+』主人と会話する事ができる。又、他人に聞かせる事も可能(常時発動)
『亀は万年+』潜った迷宮の数が多い程、耐久力がアップする。又、主人と苦難を乗り越えたりすると耐久力や、極稀にランクがアップする。(常時発動)(特殊++技能有り)
『防御壁展開+』特殊ステータス、『耐久力』を10消費し、自分を中心とした、半径5m(以前2.5m)の筒状の防御壁を展開できる。展開された防御壁は、20秒間展開し続け、その後消滅する。防御壁は、『貫通無効』が付与され、あらゆる攻撃を防ぐ。(任意発動)
『貫通無効』あらゆる攻撃を通さ無い。(常時発動)
『指輪化+』大きな盾を、コンパクトな指輪サイズに変更する事ができる。任意で盾に戻せる。(発動時、『テレパシー+』と『亀は万年+』以外のスキルが無効化)(任意発動)
『亀は万年』は苦難を乗り越えることが成長条件、確かにあの試験試合は苦難だったが、それにしても成長しすぎである。
耐久値1000というのは、連続して100回も貼れるということだ。
こんなのを攻め切れる輩がいるのだろうか? いや居ない。
さらにテレパシー+は他の人を巻き込むことができる……つまり脳内会議が出来るということだ。
これはこれからチーム等を組む時にとんでもなく役立つスキルになる。
『忠誠』と『完璧なる主従関係』にも+がついた為、これから試合で行ったセット1や、亀式流星群(太一命名)の威力がとんでもない事になる事間違いなしである。
確かにこれは、誰かを守れるだろう。
だが、なんかそういう事じゃない!!
儀式の出席者達は、剣が扇になったと言うなんとも言えないハプニングに沈黙する。
最終的に、やらなきゃいけない事が終わった儀式はモヤモヤが残る中終了となった。
後日理事長に呼び出されたのは言うまでもない。
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