女たち
おちば
第1話
性別の話をすると、もう今の時代は二元論では終わらないくらい複雑になっている。
X染色体とY染色体だけでは決められないものがあるのだ。
好きなテイストのものや、デザイン、化粧品などだけではなく
社会的にどう扱われるかも裁判で争われる程に
どこか異世界の問題ではなくなっていた。
ここで1つ、或るおんなの話をしよう。
生まれた性別は女で、女として育ち、女として生きることを望まれながら
結婚も出産もしたくない、レズビアン寄りのXジェンダーの話である。
物心ついたときには恋をしていた。
家が近い人、いじられて仲良くなった人、いつも近くにいた人
いつだって生活にはときめきがあったし、同時に何も行動を起こさず他の子と仲良くしたりしているのをみて落ち込んだりしていた。
うまくいった恋などなかった。
初めて告白した男の子は、腐れ縁の喧嘩友達だったはずなのに、気がつけばいつも目で追っていた。
校舎裏に呼び出した日のこと
好きですといった日と、付き合ってくださいといった日は別だったと日記に書いてあった。
ごめんなさいと言われなかったことにびっくりして、でもその日から彼を直視出来なくなって
気づいたら避けていた。
これが1度目の自然消滅事件。
まともに手を繋ぐこともなかったし、デートも行かなかった。
ごめんね、私は多分、こんな私を好きになってもらえないと思っていた。
私が一方的に好きになるのは良かった。でも、あなたは本当に私のことなんて好きじゃないから、と。
女たち おちば @ochiba_2
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