僕の義姉は現在恋人

黒白ノ巫女

第1話

「ん~。」

むくり。

そんな擬音語ぎおんごが似合いそうな感じで今日もベッドから起き上がる。

「いい朝だねぇ…。」

誰も聞いていないのを分かりながら、そう呟く。

「んんっ…。」

隣で寝ている恋人の頭を撫でると、眠りを阻害そがいされるのを嫌がって、向こう側に顔をそむけてしまった。

「可愛いなぁ…。」

やっぱりこの抜けてる黒月こげつ、いいな~。

「ああ~。」

「おはよ、黒月こげつ。」

「ぉはよ…。」

黒月こげつは目を擦りながらゆっくりと起き上がった。

「眠い…。」

黒月こげつは起き上がった姿勢のまま寝そうになっている。

「あははっ。」

その様子があまりにも可笑おかしいのもだから、思わず笑ってしまう。

「なぁんで笑うんだよぉ…ふわぁぁぁ…。」

「おっきなあくび。」

「ぅるさい…。」

「えへ~///」

黒月こげつがかぁわいい~んだよな~♪

「あああ…眠い…。」

「はいはい、心行くまで寝ておいた方がいいよ~。」

「分かっ―――すぅ…すぅ…」

黒月こげつは返事と同時にベッドに倒れこむと、返事をしきらないまま寝息を立て始めた。

「寝るの早っ…。」

まあ、いつも通りか。

はぁ…可愛いなぁ…。

大好きだよ。

僕の闇光やみひかりちゃん♪





「う、あ、うう…。助けて…白月しげつ…。」

まただ。

また、うなされてる…。

「大丈夫だよ。黒月こげつ。」

僕はそっと、黒月こげつの頭を撫でてあげる。

白月しげつ……。」

手が伸びてくる。

僕はその手をそっと握ってあげる。

「大丈夫だよ。どこにも行かない。」

黒月こげつの手はとても冷たかったから、僕の体温を分けてあげる。

「すぅ…すぅ…」

そうすれば、黒月こげつは穏やかな寝息を立て始めた。

その目のふちには、涙が溜まっていた。

「泣いてるなんて、黒月こげつらしくないなぁ…。」

思わずつぶやく。

僕はその涙をぬぐってあげた。

そうしたら、今度は手に力がめられる。


離れないで


そう言っているように感じる。

別れの挨拶だとでも思ったの?

「大丈夫。僕は離れないよ。」

そうつぶやいてみても、黒月こげつの手からは力が抜けなかった。

「かぁわいいなぁ…。」

子供が見知らぬ土地に放り出されて、親を求めているような。

僕の目には、黒月こげつがそんな風に映ることがある。

さびしいね、僕らは。」

そう呟けば、黒月こげつは昔の平和な夢でも見ているのか、少しだけ笑った。

それにつられて、僕も笑う。

やっぱり、君は僕の光だ。

そんなに真っ黒な髪をして、黒い眼をして、いつだって闇にまぎれてしまうのに。

僕の前でだけは、誰よりも輝いているんだ。

こんな、真っ白な髪をして、灰色な眼をして、いつだって光とあがめられた僕なんかより。

ずっと、ずっと、ずっと。


輝いてるんだ。

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