イトの転校

 今日はイトの転校日だ。

 眷族の素早い対応のおかげで、まさかの1日で転校手続きが終わった。

 いやはや流石っすね。つかマジでどうやったんだろう。普通もっと時間かかるだろ。・・・気になるし、聞いてみるか。


「おい、バトラー、どうやってイトの編入手続きを終わらせた?」

「はい。それはもちろん。主様の通われる学園の権利はほとんどを全て手に入れているからですよ」

「ま?いつの間にそんなことしたの?」

「はい。まず主様の通われる学園は私立学園であるために。その学園を経営している会社が偶然、遇々、とある理由で経営不振に陥いり株価が暴落していたので1年程前。主様に言われた通りに買占めた後、眷族を大量に送り込み支配しました」

 なんか、とんでもないことをバトラーが言ってるのだがって、あれ?この偶然って偶然じゃないよね絶対に裏で何かしてるよな、というか待てよ、俺の学園を経営してる会社ってそこそこの大企業だったような。

 ・・・・・・・・・

 うん。流石俺の眷属ですね。


「なるほどね。あれ?でも待てよ。なんか関心してたけど、俺そんなこといったけ?マジで覚えてないんだけど」

 事実、本当に一切覚えてなかった。


「絶対に言いましたよ」

「マジか?言ってたか」

「はい。言いました。ただそうですね。よく考えたら。その時主様はイト様とイチャついていられたかもしれません」

 おい、バトラー、なんかそれはもう悪意を感じるぞ。といってもそれは俺のミスだし、まあしょうがないって奴だな。別に気にする問題じゃない。


「あ~、それは聞いてないかもね。うん聞いてないわ。まあでも今聞けたしええわ。別にそれで大きな問題となってるわけではないし」

「そうですか。分かりました」

「あ。それで、イトの苗字とかそういうのはどうした?」

「それはもちろん。幸田にしました」

「幸田?それって俺の苗字じゃないか。まあ確かにイトの戸籍はそれで通したけどさ。それじゃあ、俺が明らかに血縁者って感じにならん?」

「いいじゃん陰晴、血縁者で私の身体が創られるにあたって陰晴の血が混ざっているのは事実だし。それに私との血縁者ってのは嫌?」

「一切嫌じゃないよ。そうだね。イト。うんいいね。何の問題もないね」

「じゃあ。イト。制服着替えて一緒に行こうか?」

「そうだね。じゃあ一緒にお着換えしましょうか」

 ふと、別に偶々同じ苗字でしたって落ちとかつければよくないって思ったが、まあ別にいっか。


 ――――――――――――――――――

 そんなわけでイトと一緒に軽くイチャイチャしながら制服を着替えました。

 イトが着替え終わったら、お喋りしながら一緒に学校に向かう。

 途中クラスメイトに見られて、少し不思議な感じで見られたが、余りにも俺とイトが幸せそうにイチャイチャオーラ全開で話をしてたので、誰も話しかけにはこなかった。

 そんなこんなで学校に到着したら、職員室辺りで分かれて俺はいつもの様に教室に向かう。

 

 そんなわけで教室に着き越田と喋りながら先生の到着を待つが、もちろん、周りの何人かが俺のことをチラチラとみてくる。

 

「陰晴、やけに今日、皆お前のことを見てるけど何かあったのか?」

 どうやら越田は知らないようだな。


「いや。まあ、もうそろそろ分かると思うぞ」

「もうそろそろって。そうか、まあそれらな楽しみに待ってるよ」

「ああ。楽しみに待っててくれ」

 俺はわざと少し大きめの声でそう言ったので、周りの皆は、もうそろそろ分かると、登校の時に来ていた制服という2点から転校生という可能性に行きつく。

 因みに俺が越田にわざわざ含みのある言い方をしたのは、少し越田を驚かせたかったからだ。まあ、ドッキリって奴だ。


「え?もしかして今日陰晴君と一緒に歩いてたあの凄く可愛い女の子が今日転校してくるの」

 あまり喋ったことのない女性生徒の一人が俺に話しかけてくる。

 確か名前は黒川さんだった筈。イメージとしてはなんかこう、きゃぴきゃぴしてる感じのコミュニケーション能力が非常に高く、男女共に話しかけに行くって感じだ。

 俺は適当にキャピ女子って呼んでる。因みに普通に可愛いが。まあ、白木さんとかイトとかそのレベルではない。まあ、そんなことを言ったら怒られるから口が裂けても言えないけど。


「うん。そうだね。今日転校してくるよ」

 特に秘密にする理由もないのそういう。越田はイトの可愛さを知らないし、まだドッキリは上手くいくやろ。


「へ~。そうなんだ。え?何々、あの可愛い女の子と陰晴君はどんな関係なの」

 思ったよりもグイグイと来る、黒川さん。うん凄いな。しかもナチュラルに陰晴君って呼ぶし。普通名字じゃねって、まあいっか。


「あ~。まあ秘密かな」

 正直、イトが自己紹介の時に俺のことをなんて紹介するのか全部投げたので、そういうしかない。


「秘密って、何々、余計気になるじゃない」

「なんか、私も気になって来た。教えてよ陰晴君」

 黒川さんと仲の良いキャピ女子がもう一人来た、名前は、ヤバい忘れた。誰だっけ?眷属ネットワークで調べてみるか。

 あ、出て来た。白山さんだって、黒川さんと文字通り正反対だな。


「いや~。まあ。それはイトが来てからのお楽しみって訳で」

「へ~。あの可愛いい女の子はイトちゃんっていうのか。それにイトって明らかに下の名前だよね。そんなに仲が良いんだ」

 黒川さん鋭いな。


「まあ。そうだよ。かなり仲は良いよ」

「キャー。何それ何それ。超気になるんですけど」「確かに確かに。超気になる~~~」

 俺とイトのラブコメの波動を感じたのか大興奮のお二人さん。仲が良いな。


「まあ、その関係も先生が来たら明らかになるからそれまで、待っててくれ」

「うん。分かった楽しみに待つよ」「私も楽しみにラブコメの波動を感じてるよ」

 かくして二人は別の女子の話かけにいった。


「おい。陰晴、何?彼女でも来るのか」

 越田に100点をあげたいが。今は出来ないんだよな。


「まあ、それはイトが来てからの秘密って訳で」

「そうか。じゃあ俺も楽しみに待ってるわ」


 そんな訳で話をしていたら先生が来た。

「というわけで今日は転校生が来ています」

「またですか?」

 勇気がそういうが。クラスの何人かは俺の件だと気が付いてるので俺の方を見ている。


「はい。またです。でも喜べお前ら超絶美少女だぞ」

「おおおおお。マジすか」

 事情を知らない男子は喜ぶが、事情を知ってる男子は俺を少々睨みつける。うん。視線が痛い。


「ああ。大マジだ。というわけでどうぞ入って来てくれ」


「どうも、皆さんこんにちは。幸田 イトです。趣味は料理です。好きな人は幸田 陰晴です。因みに陰晴とは一緒に暮らしています。将来は結婚するつもりです」

 俺の予想していた自己紹介の遥か上を行くレベルの爆弾発言をしやがった。

 でも、凄く嬉しいな。これから絶対に大変だろうが。愛するイトがいれば何とかなる気しかしない。いやマジで本気で。


「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」」」

 クラス全員から驚きの声が上がった。

 まあ。そうだろうな。流石にここまでの爆弾発言をするとは思ってなかったもん。さっきのキャピ女子二人も超驚いてるよ。

 まさかここまでとはってね。精々彼女予想だろうし。それがまさかの同棲&結婚約束済みってレベルが高すぎるよ。


「おいおいおいおいおい、お前どういうことだ。お前いつ、そういつあんな美少女と一緒になった。というか暮らしてるって暮らしてるってどういうことだ。おい、説明しろよ」

 隣の席の越田が喚く。まあ、そうだろうな。


「いやな、まあ、そうだな。それは秘密だ」

「ちょ、お前、秘密って俺とお前の仲じゃないか、教えろよ」

「いや。秘密だって。流石に馴れ初めを説明するのは恥ずかしい」

「まあ、そうだな。ごめん。恥ずかしいわね」

「いや。いいよ別に。俺とお前の仲じゃないか?」

「ああ。そうだな。ハハハ」

「あのう。先生、私陰晴と隣の席が良いです」

 イトが急に嬉しいことを言ってくれる。


「隣の席か。これまた無茶を言ってくるな。流石にそれは難しいな。幸田の隣には越田君いるからな?」

「あのう。俺変わりますよ?席?」

「いいんですか。越田さん?」

「ああ。もちろんだよ。それにさあ、恋人同士は一緒の席にいた方がいいだろ?」

「お前。越田、イケメンかよ」

「何、当たり前のことを言ってるんだ」

「というわけだ。では越田は今空いている席。そうだな、あ、白木さんの隣と交代だ」

 あ、そういえば。白木さんくじ引きで隣が空席の所に座ってたな。

 お前、なるほど。越田策士かよ。天才かよ。


「じゃあ。俺は席移動するわ。後は若い二人でどうぞ」

「お前、言い方がオッサンみたいだな」

「うるせえ」

「「ハハハハハハハハハ」」

 俺と越田の笑い声が重なる。相変わらず気が合うな。

「さてと。じゃあ隣になったね。陰晴」

「そうだね。イト」

「ゴホン。お前ら甘い空間を作り出すのは勝手だが。そろそろホームルーム始めるぞ」

「あ、はい。すみません」


――――――――――


確か陰晴の隣の席は越田の設定で書いてた筈、もしも違ってることを書いてる話があれば感想欄で指摘してください。

多分。大丈夫な筈。多分。・・・。大丈夫だよな?

その時は申し訳ございません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る