最高の復讐は自分が幸せになることだって何処かの偉い人が言ったけど、まあ復讐出来るんならするよね

「主様、大変です。死霊王の使いが何者かに襲われました」

 イトと楽しくイチャイチャしていたらいきなりバトラーから報告が入った。


「襲われただ?因みにその襲ってきた奴はどんな奴だ」

「強さ的には超級悪魔レベルの聖職者です。性別は男、年齢は40代後半、腕に十字の傷がありました」

「なるほどね。よく分からん。で?そいつはどうした?殺したのか?」

 陰晴は心底どうでもいい、興味がないようにそう言い放つ。


「いえ、わざと逃がしました」

「あら。そう。わざとってどうして・・・いや、まさか」

 陰晴はとある可能性を考えて眷属ネットワークから件の聖職者の容姿を確認する。

 それは忘れたくても忘れられない。アイツだった。


「そいつの居場所が分かるようにマーカーはつけているよな?」

 その声は恐ろしく冷たく、やけに響いた。

 

「はい。それはもちろん付けてあります」


「そんじゃあ。大丈夫やな。うん。じゃあそうだな、その聖職者の始末は俺がやるわ。お前らは絶対に手を出すなよ。アレは俺の獲物だ。俺の手で始末をつけなければならない獲物だ。分かったな」

 恐ろしい程の悪魔力が滲み溢れる。

 それこそ一般人が浴びれば即死亡、少々実力を持つ陰陽師・聖職者であっても死亡するレベルの恐ろしく密度の濃い悪魔力を。


「分かりました。では後はよろしくお願いします。主様」

 バトラーはこれから陰晴が復讐にいくというのを理解した上で、そう綺麗に礼をする。

 そこにあるのは絶対的な忠誠心。

 陰晴の手によって生み出された眷属として、当たり前の行動であった。

 

「ああ。そうするよ。じゃあイト行ってくるわ」

 イトを軽く抱きしめる陰晴。


「はい。行ってらっしゃい。陰晴、じゃあシチューでも作って待ってますね」

 イトも同じく、これから陰晴が復讐するというのを理解した上で、軽く抱きしめ返して自ら陰晴の頬にキスをする。

 イトは今の陰晴にはこれが一番良いというのを理解していた。だからこその行動である。


「お。イトの手作りシチューか。それは非常に楽しみだな。まあサクッと終わらせて帰って来るよ。ほい転移」

 かくして復讐の炎に燃える陰晴という世界最強の化け物はマーカーの付いてある場所の少し先に向かって陰陽師の高等術である転移を無詠唱で使い転移した。


 ――――――――――――――――――


 そして俺の目に入ったのはアイツだった。

 厄災級悪魔・七つの大罪・怠惰封印作戦時・俺の母親を生贄とするためにナイフで刺し、殺したクズ野郎。

 俺が殺したいほど憎んでる存在のうちの一人。

 その中でも特に怨んでる奴の一人。


 名前はそうエルホンス・サキレントス・カレントだったな。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 その瞬間、陰晴の中にある何かが弾けた。


「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。エルホンス・サキレントス・カレントおおおおおおおおおおおおおおおおお。お前とこんな形で会えるとはな嬉しいよ。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 俺は笑った、狂ったように笑った。笑っていた。何故ぁ笑い声がこみあげてくる。

 いつもかけていた怠惰の封印がぶち破れる。

 笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。


 ワ・ラ・ウ。

 腹の底から心の底から狂ったように笑う。笑い声をあげる。

 そしてどす黒い殺意と共に俺は声を出した。


「ぶち殺す」


 と。


 霊力・聖力・悪魔力

 俺の使える三つの力だ。これを俺はグチャグチャに混ぜて混ぜて混ぜてぶん投げた。名前はそうだな混沌弾とでもいおうか。


 ドン


 大きな音が鳴り、道路に軽いクレーターが出来る。人に当たったら確実に死ぬレベルの威力の攻撃だ。


「ち。外れたか。じゃあ次行ってみよう」


 ドン


 ドン


 ドン


 ドン


 俺はひたすらに力を込めて混沌弾をぶん投げる。

 ぶん投げて、ぶん投げて、ぶん投げる。


 周りに被害とか一切目に入っていな。ただあのクズを殺す。地獄を味合わせて殺す。それだけを目的として混沌弾を投げまくる。


 グチャ


 クズに当たった。いい音が鳴る。素晴らしい。最高だ。でもまだ足りない。


「霊弾」


 グチャ


 俺はクズの喉を潰した。

 何故なら喚かれると面倒だからだ。


「さてと。じゃあパーティーと始めようか。混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾・混沌弾」

 俺はひたすらにクズに向かって混沌弾を投げつけ痛めつける。

 おっと。あまりやり過ぎると死んでしまうな。まだ死なれたら困る。


「さてと。神よ。この愚かなる者の傷を治したまえ。おい。楽に死ねると思うなよ。破道式・霊術式・4式・痛覚倍増・滅道式・霊術式・8式・滅神経」


「ぐあああああああああああ」

 喚け。喚け。良い響きだ。ああ、素晴らしい。素晴らしい。素晴らしい。


「さてと。じゃあ。名残惜しいがメインディッシュと行きますか。開け・【地獄門】」

 地獄門、それは陰陽道の中でも禁忌に触れるというか文字通り禁忌に指定されている技の一つである。

 この技の効果は単純にして明快にして名前通り。

 地獄への門をこちらの世界に召喚させる。

 ただそれだけだ。

 だけどそれがこういう悪人に制裁を与えるという点に置いては最強の技である。


  地獄門から手が伸びる。悪人を地獄へと引きずる手だ。 

 俺はこれを地獄手と呼んでいる。まんまだ。

 だけど、この地獄手は悪人を絶対に放さない。捕まえたら最後何があろうと地獄に引きずり込む。

 今まで俺はこの地獄手から逃れた者を見たことがない。

 地獄というのがどんなものかは分からない。でも俺の本能と細胞が絶対に入ってはいけない恐ろしくヤバい物だと告げている。おそらく人間では考えられないような残酷で恐ろしく残忍で冷酷なそれはもうとんでもない目に合わされるだろう。

 地獄というのはそういう場所だ。

 ああ。最高だ。あのクズが地獄に落ちるとは最高の気分だ。

 ああ。本当に心の底から愉快だ。最高だよ。


「嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。この門の中は嫌だ~~~~~~~~~~~」

 クズが喚き声を上げる。

 でも無駄だ。地獄門が開き、地獄手に掴まれたら最後。何をしても絶対に逃げることは出来ないのだから。


 そして地獄門はあのクズをいや俺の復讐相手の一人であるエルホンス・サキレントス・カレントを完全に飲み込んだ。


 バタン


 そして閉まり。消えた。


 ――――――――――――――――――

 俺は家に帰った後。

 急な疲れを感じて眠った。多分精神的な疲労であろう。

 ただ、心は恐ろしく軽くなっていた。

 そんな俺を見て、イトは何も言わずに抱きしめて、バトラーは何も言わずに後処理に走っていた。

 ああ、本当に出来た眷属達だ。ありがたい。


 かくして俺はイトに抱きしめられながら眠りについた。


 ――――――――――――


 という訳で一つ目の復讐は終わりです。

 案外、あっさりしてるように見えて、これからも永劫に近い時を地獄の中で責め苦にあるので。まあ、うん。結構エグイっす。

 因みに、これはまた何処かのタイミングで書くのですが、主人公こと陰晴は復讐したいが、時間はかけたくないって思ってます。

 何故なら、復讐に労力を割くよりもイトとイチャイチャしてた方が自分が幸せだから。その方が良いという考え方をする人間です。

 喜怒哀楽はしっかりとありますし、人間味もめちゃくちゃあるのですが、何処か人とは感性がずれている。

 目の前に救いようのない悪人がいれば一切の躊躇いなく殺せるのが陰晴です。


 因みに陰晴は完璧に頭に血が上って周りの被害とか考えずに混沌弾を打ってましたが、一応優秀な眷属が人避けの結界を張りつつ、すぐさまに補修を行い、何事もなかったかのようにしました。


 なお、これまた何処かのタイミングで書くのですが。今回陰晴の元にエルホンス・サキレントス・カレントが来たのは、もちろん彼を憎んでいた正教会の情報部の力もありますが、実は裏で三天魔の一人であり、作中に存在だけ出てきている師匠キャラになりそうなロリキャラが関わっています。


 このキャラも何処かでしっかりと出します。

 私的に師匠キャラとロリキャラはある意味での=だと思う時がる。


 ―――――――――――――――


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