ソフト オア ハード

東風ますけ/マスケーヌ

第1話「全ては三角コーナーから始まった…!」


「はぁ……。………疲れたーー!!!」


中学生の河童の少年が一人そう呟いた。いや、叫んだ。

彼はルーベルト。この物語の主人公になるかも知れないし、ならないかもしれない少年だ。

きっと学校から帰ってきて、疲れが出で来たのだろう。だからって叫ばなくてもいいと思うが。


時は20XX年。人間は妖怪や神と共存していた。

日本は人間が5割。妖怪が4割。

神が1割と言うバランスで成り立っていた。

此処には何の差別もなく皆、何不自由なく生活している。


さて、そんな平和な日本で生活するルーベルトは

一体どんな生活をして居るのだろうか?


■■■■■■


「はぁ、疲れたー」


今日は学校があってホント疲れたわ。

週に4日って多過ぎだろ。

昔は5日行ってたらしいけどな。

さらに昔なんか週6だってよ……。

考えただけで眩暈がして来たわ。


「こんな日は、ネギを丸齧りするしかねぇぜ!だってネギはうめぇしな!」


疲れた時はネギ丸齧りと相場が決まっているため、俺は冷蔵庫から、バッ。っとネギを取り出して齧ろうとした。


…………のだが、


「あの三角コーナー光ってね?」


ピカッ!ピカピカ!!


何と!三角コーナーが光り輝いていた!


「何アレ怖い」


三角コーナーはずっと輝き続けている!

………あまりに光るので俺は恐る恐る三角コーナーを覗きに行った。光っていたモノの正体は………!


ニ ン ジ ン の 皮 だ !


「何で昨日カレーを作る為に使ったニンジンの皮が光ってるんだ?常識的にあり得ないだろ?ニンジンの皮が光るなんて?」


そう呟きながら俺がニンジンの皮を持ち上げると………!


ニ ン ジ ン の 皮 が 宙 に 浮 い た !


そしてニンジンの皮は膨らんでいき、いつしか女の子になっていった?(疑問形)。

その少女の見た目はとても美しく、幼い顔立ちからは想像できない妖艶な雰囲気を纏っている。


何で?どして?と俺が混乱して居ると幼女が喋り出した。


「久しぶりっキャ!ルーベルト!」


スゥゥゥゥ…(腹式呼吸っぽい何か)。


ハァァァァ…(深呼吸)。


久しぶり!と言ってくる幼女に対して俺は平常心をやっとの思いで保ちつつ、一つ。質問をする事にした。


「アンタ、人参の神様か?」


俺がそう問うと幼女が。


「違うっキャ!」


なんと否定してきやがった。


「じゃあ何の神様なんだよ?あんな登場の仕方初めて見たわ!」


と俺が質問をすると。


「神様じゃないっキャ!」


どうやら神様じゃないらしい。

だが俺は信じない。


「嘘つけ!神様じゃなきゃあんな事できねぇだろ!」


と言い返した。しかし幼女は。


「だーかーらー。神様じゃないって言ってるっキャ!」


と言ってきた。何言ってんだこの娘?

この世界であんな登場の仕方をするのは神様くらいしかいない。居てたまるか。


「ワシは唯の異世界人っキャ!」


「ふぁ???」


………異世界人!?


この子供が?見るからに『ザ・幼女』って見た目してよく言うぜ。

てか、一人称がまさかの「ワシ」。

ワーオ………情報量のオンパレードだ。

やめてくれ。俺の頭がバグる。


ボシュッ!(脳がショートする音)。


白旗ひーらひら。

頭も白旗を上げ始めた(物理的に)。頭の上に旗が立ってる。


「降参だ。もう辞めてくれ。キャラが濃いのは良いが属性の盛り過ぎは良く無いぞ?」


「……キャッ…!キャラ付けじゃないっキャ!てゆうかルーベルト?ワシのこと忘れちゃったのっキャ?」


覚えているかと聞かれても……知らないものは知らないしなぁ。


「………本当に、覚えていないっキャ?」


「悪い。俺、本当に君の事を知らないんだ」


悲しそうな表情をしていた幼女に対して俺は謝ることしか出来なかった………………。



カチ、カチ、カチ、と時計が鳴り響く。

オレンジ色の髪をした幼女は目頭を赤く染めながらこちらを見ていた。今にも泣きそうだ。


しばらくして、幼女は頭の整理が追い付いたのか此方に向き合って。


「しょうがないっキャ!こうなったら説明は後っキャ!ルーベルト、お前を『ソフトワールド』へ招待するっキャ!」


「ふぁ!?」


幼女がそう言った瞬間、

地面に半径1メートルくらいの黒い穴が空いて次の瞬間。


俺は…………………!!!


「ア”ア”ア”ア”ア”ァァァァ!!」


「イヤッホー。っキャ!」


重力に従って落下していった!


■■■■■■


この物語は2つの世界の命運を背負った少年が、

2つの世界を行き来して、

ふざけながらも世界を救う。


そんな『異世界旅行冒険記』である。


かもしれない?


………かもよ?


………………たぶん。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る