第8話世界が壊れる夢を見た
ありがとう。俺を好きになってくれてありがとう。手を繋いでくれてありがとう。分かり合ってくれてありがとう。たくさん話してくれてありがとう。色んな初めてをくれてありがとう。
この世の鬱屈や不安や、俺が世界を恨んでいた要因全てどうでも良いと思わせてくれてありがとう。
手紙にはそう書かれてあった。私が言われたかっただろう言葉がそこには片端から羅列されていて、気が付くと胸に抱いていた。
世界が壊れる予報が出た。夢の内容なので詳しくは覚えていないが、確か他の世界と反発し合って、外は近いうちに嵐が吹き荒れる、近いうちにこの世界は崩れ去る、と言う様な物だった。
不思議だったのは、その予報を聞いて、私が怖くなった事だ。
あれだけ世界を憎んでいた筈なのに、あれだけもう死んだ方が良いと慟哭したはずなのに、だ。私はこの世界が好きになってしまったらしい。
嫌いになって、思い直して、嫌いになって嫌いになって、また立ち上がって、
そして君と出会って世界の価値が天国くらいの高さまで上がった。
たとえ世界が壊れてしまうとしても、それよりも大事な事が今の私にはある。
世界が壊れる夢を見た。それは私のまだまだ稚拙な世界が派手に崩れる印なのかもしれない。
まだ、私は強くなれると思った。今よりもずっと。
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