第28話 久しぶり1

比較的暇な月曜日の10時頃、客がほとんどいない時間帯に、てか今日は誰もいない。土日マイナスだったから、少し不味い。仕方ないので来週末は姉妹を働かせようと思う。そんなことでボーっとしているとこの日のこの時間に2回目の来店となる客がやってきた。


「すっからかんだな。」

そんな風に誰もいない店内を見まわして常連のというか高校時代からの友人前田 修二だった。


「なんで平日に……ああ、もしかしてストーカーで捕まりましたか?」

誰もいないこともあり、そんな軽口を叩いた。


「違うは、冤罪だよ。相談しに来た。」


「相談とか嫌ですよ。めんどくさい。」


「君、他の客の相談とか聞いてるよな。酷いな?扱い。」

友人はそう言って少し叫んでいた。まあまあ人気のお悩み相談だった。


「まあ、分かりました。聞けばいいんですよね。はい、はい。はい、どうぞ言ってください。失恋しましたか?」


「してないよ。まだ、スタートラインに立ててない。今回も恋愛相談なんだが。」

知ってた。マジで恋愛相談とか僕に向いてないと思う。幼馴染は、ダメだし。


「やっぱり、人選ミスってると思う。椿がいる日に椿に相談のするか?」

まだ椿が頼りになるだろう。少なくとも僕よりは頼りになる。


「椿さん戻って来るの?」


「戻って来た。もう家に戻って来て住んでる。今は大学行ってる。」


「何でまた急に。」


「さあ、理由はよく分からない。でも、あっちの方が良い思うけど。相談相手。」


そう僕が言うと彼はこっちを見て

「まあ、それは、同じぐらいだと思うぞ。それに同級生の方が話しやすい。」

笑っていた。そんな事は無いと思う。絶対椿の方が良い。けど確かに話辛いのか。それはあるな。


「それはまあ一理ある。それで具体的に何の相談を聞けば良い?」


「めいさんをデートに誘いたい。」

中学生の相談だった。まあ僕もデートの誘い方とか知らないですけどね。


「無理だと思う。焦って車僕巻き込み事件忘れたんですか?君は。」

コイツは一度失敗しているから相談したのだろう。ドライブデートに誘うとしたけど2人きりだとあれだからって咄嗟に僕の名前を出した。僕が車に乗れないのを忘れて。アホだと思う。


「忘れてない。だからどうしようって」


有咲さんが最近言っていた事を思いでして、方法を一つ思いついた。自然にデート?に誘える方法を


「……はぁ、えっと相手の予定とかは分かるか?予定聞かれて嘘教えられたりしないよね。」


「それは、まあ聞けば分かると思いますけど。ストーカーほど警戒されて無いので。」


「僕さ、訳あってこの前、有咲さんと会って話をしたんだけど、その時にここに来たいって言ってたんだよね。」


「つまり」


「ここで良いならデート?には誘えるよ。」

ここの常連で僕が来る様に言っていたって伝えれば、自然な流れでいけるはずだ。誘って来た後の事は知らんけど。


「天才かよ。ありがとう。」


「じゃあ、ああいや。僕の相談も聞いてくれ。」


「任せろ。」

任せろか。頼りなかった。


「今うちには、椿の他に幼馴染の生まれ変わりが住んでですよね。」


「……この前いたバイトの子か。めっちゃ椿さんと顔が似てる。」

やっぱり顔は似ているらしい。あの姉妹。


「正解です。最初は幼馴染じゃないと思ってたんですけど。記憶と言動と行動が…」


「良かったじゃん。初恋だったんだろ。」


「いや、15歳だし。それに15年ですよ。もうなんか呪いとか、呪縛とかですよね。それに保護者的な感情が向いてる気がするし」


「…まあ、高校卒業してから考えれば良いと思う。だからとりあえず、もう少し、一緒にデートプランを考えろ。」

コイツに相談しても何も解決しないことが分かった。とりあえず、


「相談の前に注文を聞こうか?」

とりあえずお金はたっぷり貰うことにした。

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