第17話 ゲーム機1
「空くん、ゲーム機を買いましょう。」
いきなり、自称幼馴染が夕食後に宣言した。
「……何で?」
シンプルに意味が分からなかった。急すぎる。それに何で僕がゲーム買わないといけないんだよ。
「良いじゃん。私ゲームしたいもん。」
彼女はそう言うと食後のお茶をゆっくりと飲んだ。なんかこの光景が馴染んで来ている。
「知らないですよ。自分のお小遣いで買えばいいんじゃない?」
僕が何故買わないといけない。たとえ誕プレだとしても高校生には高いだろ。
「それは、買うよ。」
うん?いや、でもそれを買うお金があるなら。
「その前に、食費を払って欲しいんですけど。」
食費を先に払えるだろう。
「それも、……まあ払いますよ。しょうがないので。」
彼女は不服そうな表情だった。
いや、不服なそうな表情をしたいのはこっちだよ。
うん?つまりどう言う事だ。
「君が自分のお金で買うなら勝手に買えば良いと思うけど。まあ、それで勉強しなくなったら、チクるけど。」
それなら宣言せずに、自分で勝手に買えば良いと思う。
まあ、幼馴染だったら……
いや、彼女は幼馴染じゃないけど。ゲームを始めたらやめれないタイプだ。好奇心や興味を抑えられないタイプだ。
「私、ちゃんと自制は出来るんですよ。」
「本当かよ。」
絶対に勉強しなくなると思う。
「その証拠に、空くんの部屋に勝手に入ったりしてませんよ。だから鍵なんて掛けなくて大丈夫だったんですよ。」
あれ?自制出来てるじゃん。『空くんの部屋入ってなんか無いか探そう』とか言って侵入しそうなのに…
待って、部屋に最初鍵を付けてなかった。途中から鍵を付けた。
そもそも鍵掛かってるかって開けようとしないと分からないはずだし。
「…いや、鍵が掛かってるかどうかって開けようとしないと分からないでしょ。」
「……ははは」
自称幼馴染は遠くを見ながら笑っていた。
「ははは、じゃねえよ。自制心の無い嘘つききじゃん。」
「それは、また後で話しましょう。とりあえず、
私は空くんと一緒にゲームしたいんです。」
「それなら、スマホゲームか、PCのゲームで良いじゃん。」
ゲーム機を買うとお金がかかる。まあ、課金とかいろいろ我慢すれば絶対にどっちかのほうg安いと思う。家計に両親的だ。
「スマホゲームはなんか違うんです。PCは持ってないですもん私。」
あっ、そうか。PC持って無いのか。
「はぁあ」
「一緒にゲームしましょう。空くん」
彼女はキラキラした眼でこっちを見て来た。マジで本当に顔は幼馴染なんだよ。
「……はぁ、買いに行きましょう。」
あんな風に見られて断れる訳がない。
「その必要は有りませんよ。もう2台分買って来たので、代金払って下さい。」
あっ、なるほどねー。だから今日帰って来るのが遅かったのか。うん、もう買ってるのか。
「……君が食費払えば、ゲーム機の代金払う」
天才的な発想だった。
「……それなら、私はゲーム機の代金分だけ食事するだけですよ。空くん。」
彼女はそう言って笑っていた。
これは絶対に平行線だ。
それはお互いに分かっていたのだろう。
「「一旦ゲームしよう(しますか)」」
とりあえず、ゲームする事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます