第5話 夕食

「ねえ、空くんはもちろん料理出来るでしょ。 」


「まあ」


「ねえ、夜ご飯何?」

星宮 楓は、僕の家のソファーで寝ころびながらそう言った。流石にくつろぎすぎだと思うし、てか、結局ダダでおいてやるのだから、せめて家事ぐらいは手伝って欲しいと思う。


「夜ご飯は、まあ、なんか作るので……ああ、やっぱり面倒なので何か頼みますか?」


そう僕が言うと彼女は真顔で

「お金かかりますよ、空くん」

なんて言いやがるがお前には言われたくなかった。


「君のせいで食費一人分多くなってるんですけど、あのそのよくそんなこと言えるね。」


そう僕が言うと彼女は、こっちを見て

「仕方ないですね、仕方ないので私が作ってあげますよ。」

そう言うとドヤ顔で台所に向かった。


そんなことがあって、

しばらくして、彼女は戻って来た。

彼女は涙目でこっちを見ていた。


「料理、あんまり出来ないんだね。君。」


真っ黒な卵焼きを持ってこっちを見る彼女を見てそういうと彼女は小さく

「違うもん、たまたま失敗しただけだもん。」

そう言って涙目になっていた。


「そうですね。僕が作りますよ。」

そう僕が言うと彼女はこっちを睨んだ。


「私が作る、そう決めたの、邪魔建ては無用だよ。」

それは、少し頑固な彼女らしいが僕も譲るわけにはいかなかった。


「絶対にやめて、マジでこの勢いで君が作っていくと、食費が冷蔵庫の中のものがなくなるから、僕に作らせてください。」


「嫌です。私はさっき思ったの、空くんのまずは胃袋をつかもうって、だから絶対に続けます。」

彼女はそう言ってどや顔を決めたが、もしもし、それが目標なら


「逆効果だよ、君料理出来ないでしょ。おとなしく座っててよ。」


そう僕が言うと彼女はこちらを睨んで

「そんな言い方ないでしょ。私は料理作るの出来るもん。出来るから、出来るから…………まあ、でもどうしてもどうしても空くんが作りたいって言うならまあ、良いけど。」

ああ、そう、まあそれならいいけど。


「じゃあ、まあ残りは僕が作らせてもらいますよ。ああ、それと空くんって呼ぶのやめてくれませんか?」


そう僕が言うと彼女は首を傾げた。

なぜ?首を傾げる。

「だって、空くんは空くんだし、幼馴染でしょ。」


「でも、僕は28歳、君は15歳。それに、君と僕は幼馴染じゃない。」


「じゃあ、君が空くんが可愛い、可愛い楓ちゃんって言ってくれれば呼び方を変えてもいいけど。」

そう言ってニコニコと笑った。舐めるなよ、それで照れていた13歳の僕はいない。


「それは、そうですね、可愛い……」


そう言いかけた時に彼女は顔を赤くして

「ああああああああ、聞えないいいいい」

そう言って叫んでいた。いや、叫ぶなよ。言わせたのそっちでしょ。


「えっと、だから、可愛い……」

そうもう一度言いかけた時に再び


「あああああ、聞えませんんん。もう何でも良いので、夕食を作ってください。お願いします。」

そう言って叫ぶので、もう何を言っても同じことをされそうなので、とりあえず夕食を作ることにした。


夕食は真っ黒な卵焼き以外はそれなりのものが並んで彼女がおいしそうに食べていたので、多分僕のほうが先に彼女の胃袋つかみそうだと思って少し笑いがこぼれてしまった。

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