二章:幕間
2-01 たまには休暇気分でも
際限なく広がる平原の緑と、快晴の空の青。
キャンピングカーを彷彿とさせるような二階建ての大きな車は、穏やかなエンジン音を立ててその中心を走り抜けていた。
車の二階部分は吹き抜けになっていて、澄んだ風が通り抜けては少女たちの髪を揺らす。
今日もまたカラフルな衣装を身に纏った少女は、向かい風を強く受けながら、その空気をぐっと肺に溜め込んで、満足そうに笑顔を見せた。
彼女は、鼻歌でも歌うように声を漏らす。
「ほんと、幸せそうな顔しますねぇ」
隣でそう言って茶化すフェリスも、つられて口角を上げている。
カミヤは彼女のほうを振り返ると、何も言わずに、ただ嬉しそうに目を細めた。
◇ ◆ ◇
「先生?今、海に行くって言った?」
当然の様に研究室で油を売っていたカミヤは、ユアンのある発言で目の色を変えた。
マズい、とユアンは手を止めてカミヤのほうを振り返る。
「調査の一環で、な?遊びじゃないからな。間違っても、連れては行かないからな」
事務用の回転椅子を占有していたカミヤは、それはもう目を輝かせて立ち上がって彼の眼前に迫る。
そのまま至近距離まで近寄って、彼女は無言の主張を彼に浴びせ続けた。
目を合わせ続けるのは良くない、とユアンはPCの画面に目を戻す。
が、視界の外に居ても尚、カミヤの眼力は彼に圧を掛け続けた。
黙って目を逸らし続ける彼に痺れを切らして、カミヤは真顔で口火を切る。
「先生。海ってのはね、生命の源だよ。万物の母だよ。人間は、本能で海を求めるの。だからね、そんなふうに言われても諦める子なんていないの」
「どういう観点なの?」
突然の語り口調に困惑して、ユアンは思わず突っ込みをいれる。
カミヤはブレることもなく、夢見る少女のように天井を見つめて演技を続ける。
「私も年頃の女の子。時には、海が恋しくなることもある」
「…」
「いたいけな女の子が一緒に行きたいって言ってるのに。先生は、それを差し置いて、自分だけで海へ行ってしまうの?」
説得する気があるのかないのかわからないような、ふざけ半分の主張に彼は溜息をつく。
「あのな、カミヤ。街の外に出れば、影の獣や魔獣が襲ってくることだってある。俺は意地悪して連れて行かないって言ってるわけじゃなくて、お前が危険な目に遭っちゃいけないから来るなって言ってんの。この世界じゃ、そう簡単に街の外には遊びになんて行けないんだ―――って、前にも十分話したよな?」
「うん、聞いた。りゅーちゃんとエリちゃんも、街の外で歩き回って大変な目に遭ったって言ってたし」
「そうだろ。だから、今回はお前は留守番。今の開発が上手くいったら、その時は連れて行ってやるから」
「開発って?」
「お前が楽しみにしてる、街の外へのお出かけをもう少し安全にするためのシステム構築だよ」
「ほ~~~?」
興味深そうに声を上げながら、彼女は先ほどまでも使っていたビジネスチェアに座り直した。
当然の様に椅子を反対向きに使って行儀悪く座り、背もたれに腕と顎を乗せた状態でユアンの顔を見る。
「それ、いつ完成するの?すぐにできる?」
「まだ、未定。ちゃんと安全が保障できるのはまだ先かもな」
「なにさ、それ年単位で時間かかるやつじゃん」
不満そうに椅子をくるくる回しながら文句を言うカミヤ。
どうせ連れて行くつもりなんかないんだ、と彼女は天井を仰ぎながら口を尖らせた。
丁度その時、なにか資料を手に持ったクロが、ユアンへ業務報告の為に研究室へと現れた。
「先輩、こないだの擬態機構の件ですけど―――あ、カミヤちゃん。来てたんすね」
「ちっす。クロ、元気?」
「超元気っす」
穏やかに、へらへらと笑う彼の目の下にはいつも通りに隈が出来ている。
「あ、聞いてくださいよ。こないだ、街の外に出ても魔獣や影の獣に襲われない技術が遂に形になったんです」
「あっ」
ユアンが制止する間もなく。
部屋に入るや否や、クロは彼にとっての『今一番言われたら困ること』を最速で最後まで言い切っていた。
「形になった???」
カミヤの目は、完全に「先生、嘘ついたの?」という疑いを含んでいる。
「おい。待て。形になったってのは別に完成したって意味じゃ―――」
「うん?ほぼほぼ完成したようなもんだって言ってませんでしたっけ」
「…」
悉く彼の意図に反した発言をするクロに、ユアンは額を押さえる。
「クロも海まで行くの?」
「あ、それも聞いたんすね。そうなんすよ、あくまで調査の一環ですけど、これが結構楽しみで」
「そっかぁ~仕事忙しいもんねぇ。休息は必要だよね」
「そうそう。カミヤちゃんも最近忙しいんでしょ?なんだったら、予定が合えば一緒に行きたいくらい…」
そこまで言ったところで、ユアンから名前を呼ばれて、クロは話を止める。
今になってようやく彼の意図を察したクロは、「あ~~」と何かわかったような声を出した後、口を噤んで明後日の方向へと目を逸らした。
引き続き「危険が全く訳では無いから」と説明を続けようとしていたユアンだったが、カミヤの冷たい視線に気が付いて一瞬躊躇っているうちに、彼女に先手を奪われてしまう。
「せんせ。違うとは、思うけどさ?ちょっと聞いてもいい?」
「…」
「正直ちょっと、私と行くのめんどくさいって思った?」
「いや、それは本当に違う」
「実はそこまで問題はないけど、一人で海を楽しみたいとか思ってたくない?」
「違う、違うって」
カミヤは詰め寄るが、ユアンとは終始目が合わない。
「ふぅ~ん…」
じっとりと視線を送るカミヤだが、大きな声で文句を言ったりはしない。
「えっと…一応、状況を聞いてもいいです?」
念のため状況を聞いて、自身が部屋に入る前のやりとりを聞いたクロは、少し申し訳なさそうに笑いながら助け舟を出した。
「―――カミヤちゃん。その疑いはほんとに違いますって。知ってるでしょ、先輩がマジで要らんほどに心配性だってのは」
「まあ、知ってるけど」
「おい」
いちいち一言多いクロの発言に、ユアンは若干キレる。
へへ、とクロは誤魔化すように笑った。
「いくら万全に準備できてたとしても、カミヤちゃんに危険が及ぶ可能性が1パーセントでもあるなら連れて行けないって。そう思ったから、先輩は断ったんですよ」
「心配性だなぁ」
不満そうに、ユアンは目を逸らしながら「そういう訳じゃねぇよ」と小さな声で呟いた。
「危機管理能力の低い奴らばっかりだから、俺が一層過敏になってんの。着いてきたいんだったら、ちょっとくらい自分の身を守る意思は持てよ」
「うん。私、もう攫われたり襲われたりしないように気をつける」
「どうしても、行きたいのか?」
「うん。できれば、フェリスも連れて行きたいなぁ」
「だろうな。むしろ、
カミヤは恥ずかしそうに「へへ」と笑って後ろ首を掻く。
「フェリスにも、やたらと要らん喧嘩を売り買いするなって言っておけよな」
「わかった」
結局のところ要求を呑んでしまった自分の甘さに、ああもう、と彼は頭を掻いた。
「まあ、流石に獣の類に喧嘩を売る奴じゃないと思いますけどね」
そう言いつつも、クロはどことなく嬉しそうな顔をしている。
「んじゃ、楽しみにして…じゃなくて、しっかり準備して待ってるね。当日はよろしくお願いします!ばいばい!」
予定を確認した後、カミヤはそう言って元気よく研究室を後にした。
ぱたぱたと彼女が去っていく音を聞きながら、ユアンは一息つくとともに呟く。
「騒がしくなりそうだな」
「ですね。…随分と嬉しそうじゃないですか」
「嬉しくねぇ。ぶっ飛ばすぞ」
「ひえ」
そう茶化しあう二人は、揃っていつもよりご機嫌な様子だった。
◇ ◆ ◇
「―――当然の様に、増えましたね」
「そんな気はしてたよ。もうこうなったもんは仕方ねぇ」
運転手のクロと、助手席に座るユアンはぼんやりと話す。
運転席後方、居室のようにテーブルと長椅子が固定された空間では、リュックとエリア、そしてレリアの三人が和気あいあいと外を眺めて楽しんでいた。
「誘っちゃった。つい」と舌を見せて誤魔化そうとしたカミヤを見て、頭を掴んで振り回してやろうかと思ったユアンだったが―――後生の頼みだと言わんばかりに、必死に手を合わせてでも一緒に行きたがったエリアのことを、無碍にすることも出来なかった。
結局のところ総勢7名という大所帯で、仕事とは思えないような空気感で彼らは平原の真ん中を移動し続けている。
ほんの少しだけ振り向いて彼女達の様子を見ていたユアンは、最初は何かを心配していたらしかったが、レリアが落ち着いて過ごす姿を見て安心したのか、何も言わずに正面へと視線を戻した。
「擬態魔術、ちゃんと機能してるみたいっすね」
「ああ。魔女乗っけて走るのは流石に危ないかと思ったが、杞憂だったらしい」
先程から何回か、遠目に影の獣を確認しているものの、襲われる事もなくやり過ごしている。
リュック達も、今乗っている車は特殊な技術で守られている、という趣旨の説明は受けていたので、特に慌てる事もなく影の獣を見送っていた。
「科学の力って凄いねぇ。機械が魔術使えるなんて知らんかったよ」
ずっと二階席で風を受け続けている二人。
カミヤは全然平気そうな顔をしているが、フェリスはいい加減寒くなってきたようで、先程から一階に戻ろうとカミヤに言い続けていた。
「いつ海が見えるかわかんないよ、フェリス。のんびりしてたら大事な瞬間を見逃すかも」
カミヤは、まだかまだかと海が見えるその時を待ち構えて地平線の先に目を凝らす。
「いや、流石にまだ見えないでしょ。片道五百キロって、パリからバルベナまでと同じくらいの距離ですよ?馬車なら丸一日かかる距離ですし」
「え。五百キロ?それは、えっと。時速百キロで、五時間かかるってこと?」
「うん、凄く単純な計算ですけどそうですね。多分今、そんな速度は出てませんからもっとかかりますが」
「わぁ。それじゃ、往復で半日以上かかるね。帰る頃には真夜中?」
「…やっぱり。カミヤさん、これ日帰り旅行だと思ってます?」
「え」
かなり頭を使わないで今日を迎えたカミヤは、今になって自分がだいぶ大掛かりな旅行の予定を立てていた事に気が付く。
「日帰りじゃないの?」
「違いますよ。無理ですよ、この距離を一日で行って帰るのは。ほんとに、一瞬海見て帰るくらいしかできなくなっちゃいますよ」
「…そっか。じゃ、一泊二日だ」
「そうです」
「それってつまり…」
なんだか楽しそうにカミヤは目を輝かせる。
「海キャンってコト!?」
「キャン…キャンプ?うん、するらしいですね。私も初めてですけど」
「うわぁー!!すげー!!」
「ほんと計画性がないな、あんたは…」
今に至るまでこの旅の規模も理解していなかったオーナーの猪突猛進ぶりに呆れて、フェリスはまた溜息を一つついた。
「あ。私、そんなつもりなかったから着替えとか持ってきてない」
「だろうと思って、私が勝手に持ってきてます」
「さっすがマネージャー!同棲しててよかった!」
「同棲じゃなくて居候でしょ、オーナー」
隣ではしゃぐカミヤの姿を見て、彼女は呆れつつもなんだか満足げな表情で笑顔を見せていた。
「ほら、ほんとにそろそろ車内に戻りましょう。到着する前に風邪引いちゃいますよ」
「はぁい」
今度こそカミヤは素直に促されて、リュック達が待つ車内へ続く階段を下りた。
「ん、戻ってきましたね、二人共。じゃ、ちょっと速度上げますよ」
カミヤとフェリスが車内の椅子に腰かけるのを見て、クロは車の速度を少し上げる。
「ん、もしかして気遣ってくれてた?」
フェリスが少し申し訳なさそうにクロに聞くと、彼は「いや、別に?」といつもの調子で軽く返事をした。
それで終わるような他愛ないやりとりだったが、フェリスは先日の彼との喧嘩を思い出して少し念を押す。
「無理言っておいて何だけど、運転者の健康が第一だからね。疲れたら言ってよ」
「ああ、大丈―――…ん。いや、ありがとな。何なら、運転代わってくれてもいいんだぜ?」
危うく「大丈夫」と言いかけたが、ギリギリ思い出して彼は言葉を変える。
「あ、ええと、うん。運転は…いいけど、安全は保障できないかも…」
気まずそうに声色を変えるフェリスの発言に、クロは吹き出して「冗談だよ」と笑った。
彼の隣で、ユアンが小さな声で「あと一時間で俺と交代な」と呟く。
クロは素直に「あざす」と礼を告げた。
「そういえばさ、擬態魔術ってなんなんだろうね?私達、それで守られてるんでしょ?」
テーブルに置いてあったお菓子の一つを流れるように手に取りながら、世間話の勢いで問いかけるカミヤ。
ふと振り返って答えてやろうかと思ったユアンだったが、彼が答えるよりも先にレリアが口を開いていた。
「読んで字の如く、自身の姿を別の何かに見せる魔術の総称よ。今、私たちが乗っているこの車は周囲からは影の獣に見えているの」
「え。それマジ?」
「見た目だけじゃなくて、外に向けて放つ魔力の波長まで、影の獣―――厳密には、メルの身体と同質のものになってる。だから、私たちはあいつらの仲間だと認識されている…で、あってるわよね?」
レリアがユアンのほうへ視線を向けながらそう聞くと、ユアンは振り向くこともなく「そうだ」と頷く。
「レリちゃん、凄いね。細かい説明なんか受けてたっけ?」
「自分の周囲に張られてる魔術がなんなのかくらい、魔女ならわかるわ。エリアも気が付いて…なさそうね、まあいいけど」
先程から興味深そうに話を聞いていたエリアは、お菓子を咥えながら「ほえ」と間の抜けた声を上げた。
ふと、何か気が付いたようにフェリスが周りを見回す。
「あ、あの。もしかして、今の私たちが騎士団みたいな組織に発見されたら、敵だと思って攻撃されるんじゃ…?」
その問いかけに対しては、クロが笑って「さすがに話は通してるから大丈夫だよ」と答えた。
先程から何も話さないリュックの様子を見てか、隣に座っていたエリアが彼女の肩に寄り掛かるように体重を乗せて「元気?」と声を掛ける。
「え、あ、うん」
半ば上の空だったリュックは、自分がやや心配されていることに気が付いて、慌てて笑顔を作った。
その様子を見て、カミヤも彼女へ声を掛ける。
「りゅーちゃん、キャンプだよキャンプ。中々できないアウトドア、楽しもうね」
「うん。もう充分楽しいくらいだよ」
そう答えるリュックの顔を見て、カミヤは笑顔とも言いきれない複雑そうな表情を浮かべる。
リュックは兎も角、カミヤまでもがなんだか訳があるような表情を見せたことに、エリアとレリアの二人は不思議そうに視線を合わせた。
カミヤの横で様子を見るフェリスと、運転席にいるユアンは、そのやり取りを聞いて何かを思い出したように、「あっ」と聞こえないくらいの声を漏らした。
◇ ◆ ◇
そこからしばらく車を進めた後、クロもユアンも運転の疲れを感じ始めたところで彼らは車を止めて、休憩を挟むことにした。
ユアンが車の外に出て水分補給をしている最中、フェリスはこっそりと彼に声を掛けて、他のメンバーに声が聞こえないように小さな声で話を始める。
「あの。カミヤさんとリュックさんのことなんですけど」
彼女がそう話題を振ると、ユアンは少し探りをいれるように「やっぱ、思うところあるか」と小声で返事をした。
なんだか不満げな表情でフェリスは問いかけを続ける。
「あの二人って。出身、同じなんですかね?」
「…リュックに記憶が無いから、なんとも言えないが。経歴や見た目を考えると、その可能性は高いと思ってる」
「で。ユアンさんは、その事、当人達には何か言ってあげてるんですか?」
「…まだ、何も。確証がない事を無闇に言うべきではないだろ」
フェリスは、ううん、と唸るように声を上げた。
「カミヤさん、リュックさんと出会ってから元気が無いんですよ。絶対、あの人自身、何か、こう…自分とリュックさんとの共通点みたいなもの、気が付いてるんだと思うんです」
「…そう見えたか?」
「ええ、カミヤさんとはかれこれ二年くらいは一緒にいますから。そういう微妙な心境の変化みたいなものもわかりますよ」
「…」
ユアンは黙って何かを考え込んでいる。
フェリスは、そんな彼の様子に若干の苛立ちを覚えたのか、露骨に不満そうな言い草で彼を問い詰めた。
「元々は、ユアンさんが真っ先に可能性に気が付いて、あの二人を引き合わせようとしたんですよね?それなら、私にくらい何か言ってくれてもよかったじゃないですか。そしたら、もっと早い段階でカミヤさんの様子くらいは見てあげられたのに」
「…いや、その。それについては正直すまなかった。最低限、お前には考えを伝えておくつもりだったんだが」
「…まあ、誘拐の件やら、ワルプルギスの夜の件やらありましたもんね。忘れてたなんて言ったら怒りますけど…余裕が無かったのは仕方ないと思います」
ばつが悪そうにユアンは頬を掻く。
「一緒に居させれば、お互いにいい効果があると踏んでたんだ。リュックの記憶を取り戻すのにいい刺激になるかも、とか、カミヤも同じ価値観で話せる相手が出来るかも、とか。ただ、今の様子を見てると、そうなっているようには見えなくて―――俺も、何が正解なのかわからなくなってる。浅い考えですまん」
「…頼りない先生ですね」
「…そもそも先生ではないんだが」
困ったように訂正するユアンをよそに、フェリスは空を見上げて、一つ息を吐いて目を閉じた。
「とりあえず、状況は理解しました。じゃあ、私は私の思うようにカミヤさんの相談相手になればいいんですね。リュックさんについては―――なんだか、いろいろ複雑みたいですから、ユアンさんやマリーさんにお任せします」
「ああ、悪いな」
「なにも、悪くないでしょう。元々、当人たちの問題ですから。私達に出来る事は各々がやれる限り尽くしてあげるし、当人でしか解決できないことは見届ける。ユアンさんは、そういうのを全部自分の責任だと思い過ぎなんです」
フェリスがそう当然の様に言うのを見て、ユアンは驚いたように目を開いた。
「…はは。最初に会った時と比べて、随分と頼もしくなったな」
そう言われて、フェリスは顔を赤くして言い返す。
「周りが頼りないから、私が一生懸命そういう『フリ』をしてるんです!ユアンさんも、もっと年上らしくしっかりして下さい!」
「ああ、わかったよ。俺も、頼りがいある先生の『フリ』、頑張るわ」
「…過労死しない程度に、よろしくお願いしますね」
少し図々しすぎたかな、と思いつつもフェリスはユアンの肩を指でつついて車の中へと戻って行った。
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