第95話 姉なるもの(甘口)、妹なるもの(辛口)誕生!

ここで、姉属性が誕生します。後半は、いや書くのはやめておきます。ガクガクブルブル!


ーーー


チュッ♡


チュッ♡


あーもう蕩けた。時間が忘れてしまって自分の名前を名乗ることすら面倒くさくなってしまう程気持ちいいです。もう僕の方から、腕をメティス様の首に回してしまっています。


「ふふ。気持ちいいか?安心せよ。ここからもっと深くしてやろう。」


チュッ♡


レロッ♡


あああ、舌が入ってきた。溶ける。溶ける。僕の舌が溶けてしまう。キスをしている時、メティス様は目を開けて僕の表情を見つめつつ、嗜虐的な表情を作っていた。ちなみに僕はノーマルだから。


「ここが弱いな。ほれ。」


ビリビリッと口内から脳に直接、電流という形で快感が伝わる。


このペースで2時間が経過。目の前が白くなって、もう意識も保て...ない。


チュポン♡


「ふう。危うく気絶させてしまう所だった。私を変態呼ばわりした罪はまだまだ清算しておらんからな。意識を保って貰わなければ。」


シュルリと帯を緩め、僕の肌が曝け出され、その上にメティス様が覆い被さっていく。髪が僕の全身に吸い付き、更にそこから布団が被さると、メティス様は腕を首へと回し、その右腕を枕にする。


「ここにある本には、恋のABCというものがあった。私はその知識に従って実践しているだけなのだが、想像していたより何倍もいいものだな。」


すみましぇん。もう、体に力が入らないので、応じることができましぇん。


「ハァ...ハァ...。」


「そんな顔をしても逆効果だ。逆に襲いたくなってしまうではないか。」


メティス様の瞳がさらに細まり、その危険な唇をまた重ねようとする。


「メティス様は僕のどこを見て好きになって...」


回復時間を稼ぐため、何気ない質問をしてみる。


「イチロウ。調停者が今、どこにいるか分かるか?」


すると、急に真面目な顔に戻って質問を質問で返してくる。


「正解は分からぬ。世界の管理は今も機能しているが、所在は未だ私ですら分からぬ。これは、英知神としては屈辱的なことなのだ。だがな」


だが、メティス様はまた先ほどの嗜虐的な表情を作り、その顔を僕へと向ける。


「イチロウ。お前は奇しくもその調停者の下級神だった頃の姿にほぼそっくりなのだ。最上級神より上である筈の調停者を私が組み倒していると考えれば...ふふ。ゾクゾクする。」


どうやらこの英知神は調停者に対して、並々ならぬ想いを抱いているようだ。そしてそんな調停者の姿を僕に重ねているから...


「勘違いするでない。調停者に対しては見つけ次第、一発ブン殴りたいという思いしか抱いていない。私の初恋はイチロウだ。これは、どんな書物にすら書かれていない、私の本心というものだ。だからな、イチロウ?」


さらにメティス様は第3の顔を僕へと見せる。それは、目をウルウルさせて男の本能を刺激するような乙女の顔だった。


「私にイチロウを頂戴...」


ここから先の流れは自然に行われた。あれだけ嗜虐的な表情をしたメティス様は次第に頭をナデナデするようになり、とびっきりに僕を甘えさせていった。この時のメティス様はまるで...年上の義姉のようだった。


「ほう、イチロウ。心でそんなことを思っていたのか?なら、これからは私のことをメティス姉と呼ぶか?というより、呼べ。呼ばないと、五神権で明日もこのまま過ごしていくぞ?」


あ、心を読まれた!明日もこのままは勘弁して欲しいため、僕は今日から英知神のことをメティス姉と呼ぶことを決定された(強制)。


「よしよし。じゃあ、もっと気持ち良くなろう。我慢せずに、ほれ♡」


こうして、最上級神。いえ、メティス姉と僕はお互いに甘えながら意識を白い靄へと沈めていった。


◇◇◇


「むー!」


異世界15日目。午前2時をすぎた頃に、ヴィシュヌが上から頬を膨らませて、僕を見下ろしていた。メティス姉は僕に抱きついて眠っている。


「イチロウさん。デレデレし過ぎです。そんなに神妻より姉の方がいいんですか?姉のくせに。姉のくせに。姉のくせに。姉のくせに。姉のくせに。姉のくせに。姉のくせに。姉のくせに。」


ハイライトオフのコバルトブルーの瞳を僕に向けて、何かをブツブツと言い始める。すると、何かを閃いた感じな顔をして提案をし始める。


「ならばこうしましょう。メティスが義姉ならば、私は妹でいきましょう。それならば、対等ですね。」


ヴィシュヌはメティス姉を<固定>し、僕をベッドからズルリと下ろし、いつものようにヴィシュヌの部屋の布団へと転移させる。だがなぁ、ヴィシュヌよ。義妹属性はアカネと被っているんですよ。


「二番煎じではありませんよ。イチロウさん、こうすればいいのです。あーん。」


ガリッ!


「痛てて!」


ヴィシュヌが僕の指に齧り付き、血をちゅうちゅうと吸い出していく。


「これで私にもイチロウさんの血が入りました。これなら、義妹ではなくて実妹ですね。あ♡イチロウさんが、イチロウさんが入ってくるぅー♡」


アへ顔で自分の体を抱いて、ビクンビクンしているヴィシュヌ。あーそうですか。なら、実妹になったんで絞り取りとかは無しでいいよね?なので、今日からあの地獄の快楽フルコースはなしの方向でいいですか?


「え、駄目ですよ?神界では私がルールなんです。私の言うことは絶対なんです。なので、私が『神界で血が繋がった兄弟でも婚約できる』と言えばそれが適用されるんです。グヘヘヘヘ。血の繋がった兄弟の禁断の果実。どんな味がするんでしょうね?イチロウ。いいえ、イチロウ♡」


結局、僕の抵抗も虚しく今まで通りに味見、キス、絞り取りを10年分もさせられてしまうのだった。こんなの絶対おかしいよ。


ーーー


次回、米、発酵という『エプタ』の特産について話し合います!

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