第80話 サリア教皇救出戦 勇者&聖女VS嘲弄 教皇の登場
勇者のアウラと聖女のアリアは、長い長い地下通路を通り、外へと出る。
「アリア。外の方に出てしまったけど、このルートで大丈夫なのかい?」
「ええ。問題ありません。ラペシュ大司教はあの7つの通路の合流地点『神降ろしの広場』の奥にある『神降ろしの間』にいます。地下でありながら外に通じる道も存在はしていますが、一本道を進めば自ずと合流できます。」
6つの通路を進んだイチロウ達のことを脳裏に浮かべつつも、先の道を進んでいくと、大きな広場へと辿り着く。そこには、大きな十字架がそびえ立っており、横には6つの道が並んでいる。
「6つの道!?つまり、ここが」
「はい。合流地点の『神降ろしの広場』です。私達はどうやら敵にぶつかることもなくここに辿り着いたようですが」
アウラとアリアは最初に辿り着いた事実と道中に敵と遭遇しなかった事実に困惑している。
「遂に参られましたか、聖女様。」
金髪のロングヘア、紅色の瞳をした特徴の男が奥からスタスタと歩いてくる。
「ラペシュ...大司教。」
アリアはその男を見て、怒りを乗せた眼光を浴びせる。アウラも彼女の様子を見て、聖剣を抜く。
「君がラペシュだね?アリアの母を返して貰おうか?」
アウラが前の男がラペシュであることを認識すると、ド直球の質問を繰り出す。アウラよ。普通、この質問に対する答は否定になるのが一般で
「いいでしょう。お返ししますよ。」
ない...だと...!?そんな表情を浮かべるアウラとアリアの2人。そんな時、ラペシュの背後から一体の人影がアウラの所へ飛びかかり、杖を振るう。
「はぁ!」
聖剣で受け止め、飛びかかった者を押し返す。その姿はアリアにそっくりな曙色の髪をしているが、目は虚な大人の女性だった。
「母様!ラペシュ大司教、母様に何をしたのですか?」
アリアはその女性の姿を見て、その正体となる言葉を口にした。
「教皇様には、<レベル倍化>の実験に付き合っていただきましたよ。あなた達、ルーラ一族は特に我がレベルアップ増強剤に適合しやすいですからねぇ。やはり、聖の象徴となる光属性魔法のレベルが高ければ高いほど、この薬の効果はそれに比例するというのは間違っていないのでしょう。」
ラペシュがブツブツ言っているが、アウラは現在、サリア教皇から放たれる<
「となれば、聖剣を扱える勇者、サリア教皇の娘である聖女もさぞかし良い素材になりましょう。サリア教皇、いや、最高傑作”嘲弄のピュー”よ。彼女達2人を生け捕りにするのです。」
ラペシュはピューに命じると、来た道を戻っていった。
「待ちなさい。ラペシュ大司...きゃっ!」
アリアはラペシュ大司教を追いかけようもするも、ピューから放たれた<
「母様!私です。サリアです。目を覚まして下さい!」
アリアはピューに声を掛けようとするも、全く届かない。
「アリア。彼女は確実に<洗脳>に近い魔法かアイテムで、操られている。某吸血鬼によって何かの芽を埋め込まれた高校生男子のように。」
ゴゴゴゴゴ
これに対し、アウラは勇者として培われた戦闘の経験から、この戦いの突破口を見出していた。
「この場合、ぼく達が出来ることは1つ。彼女の動きを鎮圧し、アリアの最上級回復魔法<
勇者は時に、戦場の仲間達の士気を上げる才能も求められる。アウラはその才能をここで発揮した。
「分かりました。私が魔法であなたを強化します。アウラは母様の動きを止めて下さい!」
「了解したよ。」
『神降ろしの広場』。ここで、一人の女性を救う二人の少女の戦いが始まった。
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ピューの杖から、幾重の光の鎖が伸び、二人を捕らえようとするが、
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強化されたアウラの、斬れぬ物などあんまりない白い聖剣により光の鎖は切断される。
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聖剣から光の奔流が放たれ、ピューに命中。したかと思ったが、ピューの周りには赤黒い障壁が張られていた。
「...!アウラ、気をつけて下さい。母様が持っている杖から邪悪な気配を感じます。杖を!杖を狙って下さい。」
アリアの固有スキル<聖女>は、邪気を見通す眼。その能力が、アウラに狙うべき対象を伝える。
「杖ね。分かった。<
光を足に集中したアウラは、そのスピードを上げてピューへと突っ込む。そのスピードは一瞬で、残像を残しそれが光の粒へと拡散する様、それをとって彼女は”残光”という二つ名を持っているのだ。
ザンッ!
ピューに接近したアウラは聖剣で一閃すると、その杖を破壊した。これで、ピューの覆う赤黒い障壁は破られた。
「後は、鎮静化だね!?」
すると、ピューは『ここからが本番だ』という感じに、肌を赤黒く染め、蒸気を纏い始める。<レベル倍化>が発動したのだろう。それを見たアウラは、顔に影を作った。
「参った。彼女、ランクアップ試験の時のイチロウくんに近い気配を発しているよ!」
ーーー
次回、サリア教皇が面白くなります。彼女の洗脳時の脳内再生はあの声優さんで!
URYYYYYYYYY!
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