第74話 サリア教皇救出戦 弓神VS禁忌

[追記]ヴァニタの技に<ブラッディ・クロウ>を追加。追尾性能を持つ厄介な斬撃になっています。


ーーー


弓神であるアカネは、広大な森へと出た。そう。完全なである。


「さっきまでは地下だったのに、お外に出ちゃいました。何処かで私、間違えた!?」


どうしよう!?と混乱するアカネ。そんな彼女の所に、赤黒い斬撃が降り注ぐ。


「よっと。」


<最上級索敵>により探知し、アカネは回避する。


「おやおや。なるべく音を絶てずに攻撃したのですがねぇ。」


すると、1本の木の枝の所に鳥の仮面を被った人影が現われる。<隠蔽>により姿を消していたようだ。


「自己紹介を。私は禁忌のギル。あなたの命をいただきに参りました。」


すると、身体から赤黒いオーラを噴出し、持っている鎌から赤黒い刃が発生する。


「さぁ、死のマッチを踊りましょう。<ブラッディ・シックル>。」


両手の鎌から、赤黒い三日月の斬撃が繰り出される。


「<付与エンチャント:ウインドカッター>。」


1000本の<ウインドカッター>を纏った矢が高速で放たれる。その間僅か0.1秒。ギルの放った2つの斬撃を消し、更にギルへと迫った。


「うぉっとっと。私の刃を押しのけるですか?ならば、<隠蔽>。<静寂>。今度はあなたが気づいた時には、その生が終わりになるよう努力して差し上げましょう。」


ギルは2つのスキルにより、姿と音を消した。しかし、アカネは落ち着いて狩り場を形成し始める。


「黒白の証、四十四の地点、八十八の放射線!火・水・風・土・光・五つの知覚!動きに満ちた世界を我に見せよ!<最上級索敵:オール・パッスィビティ>!」


姉と同じように祝詞を唱え、普段の<最上級索敵>の範囲と能力を一段とパワーアップさせる。これにより、アカネは僅かに発生する風の音すら逃さない程の索敵能力を得ることとなる。


「<ブラッディ・クロウ>。」


赤黒い三日月の刃が今度は鴉の形を形成して迫り来る。アカネはさらりと避けるが、追尾性能があり、避けてもまたアカネの所に向かってくる。


「もう、しつこいですね。」


アカネは避けても避けても追尾してくる赤黒い鴉にうんざりしたため、あの広範囲殲滅攻撃を仕掛ける。


「<付与エンチャント:プリズム>。」


アカネは森の木のてっぺんに登り、更にそこから跳躍する。繰り出されるはかつてのプロスペリア王国の特別試合で見せた無慈悲な連射。


「虐げられし弓達の全ての思い、その身に受けて砕け散れぇ!<スター・プリズム・フォール>。」


例の如く白い無数の矢が放射線状に放たれる。その放たれた矢は瞬く間に赤黒い鴉ごと森の木々に当たると爆発し、森は物の見事に更地となった。


「<ブラッディ・サークル>。」


ギルは天から降り注ぐ光の矢を、赤黒い斬撃を周囲に展開することで赤黒い半球を作って、防いでいく。


キン


カン


キン


と音を立てて、鎌で光の矢を防いでいくが、所々で打ち漏らしが出てきたのか。足や腕、腹に矢が刺さる。


「ちっ。何処まで出鱈目に矢を放てば気が済むんですか!<ブラッディ・シックル>。」


僅かな隙を突いて、矢の発射場所へと向けて赤黒い刃を放っていく。アカネは矢を打つのを止めて、その斬撃を回避する。これにより、天からの矢の雨は止み、更地となった大地で2人が相対する。


「自己紹介の時に見た顔ではありませんね。余裕が消えていますよ。」


「フゥ...フゥ...。初めてですよ...ここまで私をコケにした愚か者さんは...。<レベル倍化>。」


ギルの身体はガルザの時と同様に赤黒くなり、身体からは蒸気が噴き出す。そしてオーラは赤黒いものから黒色へと変化したため、刃の色も黒色へと変わった。


「サラニ、<ブラッディ・スピニング>。」


鎌の刃から、錐揉み上の刃が展開される。


「オワリシテサシアゲマス!」


ギルはそれを螺旋状、直線の軌道で放とうとしたが、足が何かに拘束され、アカネに放とうとした斬撃が地面へと飛んで行ってしまう。


「さっきの光の矢。あれに紛れて別の魔法を付与した矢を放っていたことに気づきませんでしたか?」


ギルがその言葉を聞いて、足元を見た。そこには、ギルの足に巻き付く光の鎖があり、彼は動こうとしてもピクリとも動かすことは出来なかった。


「<付与エンチャント:プリズム・チェーン・バンド>。」


更に矢を放ち、そこから展開される光の鎖でギルの身体をグルグル巻きにする。アカネはこれでギルの四肢を拘束し、彼という的を固定化した。


「ウ、ウゴケン!」


「そう言えば、あなた達はレベル90以上、いいえ、今は倍化しているので180以上はあるんでしたっけ。ならば、手加減の必要はありませんね。」


アカネは一本の矢を構える。


「アアア、<ブラッディ・シックル>。<ブラッディ・スピニング>。ワ、ワザガ。」


「愚者よ、血の汚れ・愚行・蛮行・ヒトの鎖を捨てる者よ!炎熱と赤光、垣根隔て地の底へと堕ちて悔い改めよ!<付与エンチャント:レッド・ファイア・スピア>。」


赤色の炎を纏った一本の矢はギルに命中し、赤色の炎が発生する。


「グアアアア!ワタシガ!コノワタシ...ガ...」


ギルは赤色の炎に包まれ、そして倒れた。

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