第68話 終焉と聖女の出会い

イチロウです。何者かは知らないが、誰かからの伝波をキャッチし、その場所へと向かっています。声質からして女の子だったかな?テンプレへのワクワク感、そして人が襲われていることへの危機感を半々に向かうとそこに...


いました。曙色のロングヘアーで銀色の瞳をした女の子が魔物と対峙していました。魔物について、鑑定。


ポイズンコブラゾンビ

HP:600/2000

MP:1000/2000

攻撃力:2000

防御力:2000

毒の霧を吐く草色の巨大蛇のゾンビ。腐敗しているため、素材にはならない。火属性魔法で焼却しましょう。討伐部位は牙。


これまた厄介な能力をお持ちで。つまり、あの紫色の煙が毒の霧であると見て間違いないようだ。


(ちなみにイチロウさんは、HPが∞なので実質、毒状態になっても問題はありません。寧ろ、吸っちゃっても最上級回復魔法<病魔を全滅する慈しみエリクサー>で万事解決なので、遠慮無く倒しちゃって下さい。)


「...。<創造魔法:ガスマスク>。」


悪いな、ヴィシュヌ。毒と聞くと不安しかないため、保険を掛けさせて貰いますね。


シューコー


シューコー


決して、某ウォーズの黒い鎧と黒い仮面を着けた悪役ではないことだけは伝えておく。まずは、毒の霧の中にいるであろう人物を救出するところから!いざ、突撃ぃ!


「そ、そこの方。その毒の霧は危険です!だから入らないで!キャッ!」


ガスマスク効果覿面。毒状態にかかることもなく、倒れている人の所へと到着したぞ。要救助者発見。レスキュー!鑑定。


マリア 女 18歳 毒状態

レベル:45

種族:獣人族(狐)

[能力値]

HP:200/4,500

MP:100/4,500

攻撃力:4,500

防御力:4,500

[スキル]

<火属性魔法 LV.5>、<土属性魔法 LV.4>、<光属性魔法 LV.7>、<暗器術>

[好感度]

10/100


ふぅぅ。久々にまともな好感度を示す女性と出会えた...じゃない!毒状態かつHPの値が僅かだ。急いで治療しなければ!


イチロウ3秒レスキュッキング


まずはガスマスクを創って、彼女の顔に被せて毒の流入を塞ぎます。次に、最上級回復魔法の<病魔を全滅する慈しみエリクサー>で、HP全回復&毒消しを行います。最後に、マリアさんを抱えて毒の霧から救い出せばレスキュー完了という簡単なお仕事です。


「マリア!」


曙色の髪の女の子が駆けつけてくる。その子に、先ほどの救出劇の一部始終を話すと、怪訝な顔から安堵した顔へと変化していった。


「それで、あなたはこれからどうするんですか?」


「これ以上の被害を抑えるために、あのゾンビを倒しておきます。<魔装:ダーク>。」


おさらい。アンデッド系ならば、火。つまり、裏を返せば火属性魔法でなくても火の攻撃なら効くということ。


「神代流魔剣術 闇の巻 裁きの黒炎龍。」


お久しぶりにあの台詞をここで書いておきます。邪眼の力を舐めるなよ!


黒い炎の竜がポイズンコブラゾンビへと飛びかかり、そして見事にポイズンコブラゾンビは焼却された。討伐対象の牙を回収し、<アイテムボックス>の中に放り込むと、2人の女性の所へと向かった。


「この度はマリアを救っていただき、ありがとうございます。私はアリア・ルースと言います。こちらはマリア。私の付き人で、姉のような人です。」


姉...か。この子は、そんな姉と慕う者を救うためにあそこまで...。感動だ。家族を救うその敬意に評し、僕も自己紹介をしよう。マスクを取り、しっかりと素顔を見せる。


「...あ...。」


トゥンク


気のせいだろうか。もの凄い勢いで、アリアの頬がピンク色に染まっていくように見える幻覚が見える(実際に起こっています)。いやいや、まだ初対面だから。


簡単な自己紹介を終え、アリア達と今後のことについて話し合いを行おうとしたタイミングで彼女達が合流する。


「やっと見つけたよ、姫。」


ああ、丁度良かった。アウラが僕達の所へと来てくれた。


「ん?」


「え?」


が、アウラとアリアが顔を合わせると知り合いに再会したようなリアクションを見せる。


「久しぶりだね、アリアくん。」


「ええ、本当に。これも神の啓示でしょうか!」


お互いに抱きしめ合う二人。この様子だと、アリアこそがアウラの友達であると見て間違いないだろう。僕はしばらく彼女達を2人きりにし、ここにやって来る馬車を迎えに行くことにした。


◇◇◇


(???視点)


召喚士はイチロウ達の一連の戦闘を、使い魔を通して眺めていた。そして、開いた口を塞ぐことが出来なかった。まさか、自分が聖女に手を掛けてしまうとは、夢にも思わなかったからだ。


「残念だが、お前はもう用済みだな。」


「ま、待ってくれ。まだ死にたくない。」


「あの魔物共の残粒した魔力からこちらを特定される危険があるのだ。我々のため、つまりは大司教様のためにここで始末させてもらう。」


ポチッ


「うわらば」


召喚士は謎の爆発により、この世からおさらばしてしまった。


「とうとう来たか。我らの障害よ。こうなったら、全力で潰しにかかるとしよう。全ては神の名のもとに!」


ーーー


次回、勇者VS聖女!?

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