1章 始まりの町から全力全開!

第1話 転生は強制!拒否権は...無い

おっす。僕、川代一郎かわしろいちろう。現在、高校受験へと向かっています。人生を左右する出来事なので、気合いはマックス、緊張もマックスの状態で道を歩き、その周りには制服を着た同い年の学生達が同じ試験会場へと向かっている。どうしてこういう時だけは時間が長く感じてしまうのか?そんな疑問を持ちながらも足を進めていたのだが。


「ねぇ、あの子誰!?」


「かっこ可愛い。どうしよう。アタックしちゃおうかな。」


頼む。緊張マックス状態を乱さないでくれ。というより、ひそひそ声のつもりで話しているようだけど、完全にボリュームが会話レベルある件について。


しかし、生まれついてのことだけど、何故か僕の周りには女子が集まることが多い。これは自慢ではなく事実である。理由は不明。分かっている事としたら、いつも周りから『かっこ可愛い』という謎の言語が飛び交うことくらいだ。


とにかくそんな感じで受験へと向かっていたのだが、突然、車のクラクション音が鳴り響き、気づいた時には宙を舞っていた。


「キャアアア!?事故よ。事故が起きたわ。」


「車の運転者は誰!?警察に電話しなきゃ。」


「それよりもまず救急車よ。人工呼吸よ。あわよくば、ファーストキスを」


「そうはさせないよ。彼のファーストキスはあたしのものよ。」


女子達が乙女の戦いを繰り広げている中、僕は意識を失った。ああ、人生の3分の1も過ごしていないのにもうあの世行きか。ごめん、お父さん、お母さん。先に逝って天国で待っているよ。


◇ ◇ ◇


なんて思っていた時期がありました。


「えっと、聞き間違いかもしれないのでもう一度言ってくれますか?」


「はーい。では、もう一度言います。ボクと結婚して、異世界に転生してよ。」


皆さんは信じますか?目を覚ますと、18歳くらいの少女が目の前にいて、いきなり告白してくるイベントを。周りが見知らぬ白い空間で、血だらけだったのが嘘のように無傷な体になっているのを。


目の前に立っているのは女神様の一柱で、名前はツカネ。紫色の髪と赤い瞳が特徴で、惜しみもなく好意を伝えてくるというある意味、素直な性格をしている。


「えーと。取りあえず、質問していいですか?」


「はーい。何でしょー。」


「転生以外のルートはありますか?」


「ありませーん。というより、決定事項でーす。もし断ってしまった場合、キミはもう2度と生き返らなくなりますが、それでもよいなら...」


「分かりました。分かりましたので、転生します。」


何故じゃ!その『全ての決定権はボクにあり、ボクの言うことは絶対である』みたいな解答は。神様の間でも某鬼の王の会議は流行っているのか。天国で親と暮らすという選択肢は理不尽にも潰えたことは確定しました(泣)。


「それで、転生先はどうなる感じで?」


「了解。ボクの夫になるという言質を得たので説明するよ。」


これから転生する場所はアルフラトネという世界で、剣と魔法が飛び交うところらしい。つまりは、ザ・ファンタジーである。文明レベルも中世らしく、移動方法は馬車、ライフラインは魔法具、冒険者ギルドありという、これまた異世界ファンタジーあるあるな所である。それと、僕は異世界に転生することを認めたのであって、結婚は認めてないからな。


「一応、ステータスについてはボクの方で設定しといたよー。『ステータスオープン』と唱えれば閲覧可能だよー。」


取りあえず、ステータスオープン。


イチロウ 15歳 男

レベル:99

種族:美形神

[能力値]

HP:10,000/10,000

MP:∞/∞

攻撃力:10,000

防御力:10,000

[スキル]

<火属性魔法 LV.10>、<水属性魔法 LV.10>、<土属性魔法 LV.10>、<風属性魔法 LV.10>、<創造魔法>

[固有スキル]

<魔法神の狂愛>、<美形>


わぁーい。レベルや能力値が人外だぁー。MPなんてもう目を逸らしてもいいよね。ああ、もう人間やめてるやん。種族は美形神って書いてあるし。スキルについては詳細説明されてないけど、チーターであることは間違いないだろう。そして、一番のツッコミ所は固有スキル。魔法神の狂愛って何だよ。加護とか寵愛とかならまだしも、狂愛は一番アカンやつでは...。


「ちなみに、魔法神はボクことツカネちゃんだよー。効果は、MP無限生成と全属性魔法レベルマックスと創造魔法。異世界先では、ジャンジャン魔法を使っちゃおう!」


補足説明ありがとう。後、さりげなく心を読まないでください。取り合えず、転生先、ステータスの確認は終わったから


「後は、移動だねー。」


だから心を読まないでください。もうこの女神様の前ではプライバシーや隠し事は無意味じゃないか。バレたら何されるか、もう怖くてしょうがない。


「そうですねー。バレたら...絞り取りかなー。その方が手っ取り早いし。」


つまり、少しでもやましいことがあると即、『責任を取らされる=結婚』ということになる。行動は慎重にを心がけていこう...。


「それじゃ、転移魔法で飛ぶからボクに捕まってねー。」


さて、いよいよ異世界に出発か。痛いのは嫌だけど、頑張ろう。


こうして、僕達は光に包まれていった。

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