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 「ぼく! あれをとってきます! スズラン! とってきます!」


 青年がとびだそうとするのをあわててその腕を掴む。


 「待ちなさい!」

 「博士! だってあの花をとりに来たんじゃないですか! ぼくいきますよ! 博士だってほんものははじめて見るんでしょう?」

 「ダメだ、敵機が、撃ってくる」

 「てっき? なんですかそれ、いまはそれどころじゃないですよ、これが博士のはなしていたお花畑でしょう? すごい! 山の上にお花畑なんてぼくじつは博士の頭んなかがお花畑なんだと思いましたよ! それにしてもだれが手入れしているんですか? お礼をいわないといけませね! ドキドキします!」

 「とにかくいまはじっと、」

 「きっとドーナツのまんなかになにがあるのかわかったときってこんな気持ちだと思うんです、だからあとで博士の計算値を聞かせてくださいね、あ、数学科じゃないからとかはなしですよ、ぼくだってお花のお世話がんばったんですからね!」

 「わかった、わかったから、キミ、はなしを聞いてくれないか、」

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