cranberry Milk chocolate

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 「あ! 博士! あれ!」


 唐突に道が開けてそこに広がるのは、


 「お花畑!」


 天をも貫く高峰に囲まれたカールに広がる、薄桃色の絨毯、


 「ベニ…ツガザクラ……」


 長年焦がれて、

 生まれてはじめて、

 目にする

 ベニツガザクラの『お花畑』だった。


 身体が震える。

 美しい。

 写真なんかより、何万倍も…

 いや、比べものになんか

 ならない…


 一年待って、

 雪のしたで待って、

 こうして幾年も、

 かわらず花開いてきた。


 だれに、知られることも

 だれに、触れられることも なく。


 「すごい! すごいたくさん!」

 「あぁ、」

 「博士! 温室とは比べものになりません!」

 「あぁ、」

 「博士! たくさんのスズランが!」

 「…ベニ…ツガザクラ、だ」

 「すっごく、きれいだ!」

 勢いよく青年が車を降りて駆けだそうとした、そのとき、




 ゴォン…




 空に不吉な音が響いた。


 この、あまりに愉快な純度一〇〇パーセントの青空には、いかにも不釣り合いな。


 「敵機…、」


 戦闘機だ。


 ふもとの集落を狙いにいくのだ。

 「センセイ! コッチ!」

 現地ガイドに引きずられるように車を降り岩陰に身を潜めるが、

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