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「困ってたんです、ちょうどアパートを追いだされちゃって! なんだかわからないけどぼく、なにかの審査に落ちたみたいで大家さんに、あ、ぼく、教会も追いだされちゃってるんですけど、」
「いや、しかし、キャンプは、」
「ぼく、ミサのあいだなにかしたみたいで、もう初等科から出入り禁止なんですよ! 大家さんにバレちゃって、」
「わかった、もういい、わかった…」
とんだ貧乏くじだ…
これじゃ、クビにするにもできないじゃないか…あのタヌキめ…
相も変わらずにこやかな脳内の人事課長に、いまさらながら胸中で毒を吐く。
「ぼく初等科から寮なんですけどまだ実家にも出入り禁止で恥だから帰ってくるな、みたいな、どうしてですかね、一生懸命勉強してぼく、ドクターまでとったのに、だから実家にも帰れないし、あ! さいわい、顔を見せない代わりに学費は、」
そ、そうか…彼なりに辛いおもいもしたのだろう…それなら…
「それなら、仕方が、」
「あ! それより、ドーナツの穴なんですけど、」
〜〜〜〜っ!
全言撤回っ!
「だめだキミ!」
「博士のご意見は、」
「ひとりでここにはおけない!」
「大丈夫です、博士のドーナツまで食べませんよ、ぼくそこまで意地汚く、」
「わたしもきょうからここに泊まるっ!」
あぁ、なんでこんなことになってしまったんだろう……
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