第4話 嘘吐きじゃない…、よね?


「貴方にはバイトを辞めて貰います」


「ファ?!」

「ファ?!じゃありません、辞めて貰います」


あまりに突然だった。こんな事私の人生で一度もなかった(?)、一度も。だが、それも今日まで。信じたくない、信じたくもないこの事実。


「まるで、『信じられない…』みたいな顔をしてますね。『え!なんでわかったの?』みたいな顔もしないでください、顔に出てるんです」

「どうして…」

「?」

「どうしてクビなんですか?」


私はここで懸命に働いてきた、懸命に。むしろ評価されるべきだ。彼は何もわかっちゃいない…


「……貴方、本気で言ってるんですか?」

「?、ええ」


彼は心底驚いた顔をする、そして段々と憐れむ顔になる。おかしい……


「……しょうがないですね、では一から説明しましょう…」

「お、お願いします?」

「なんで疑問系なんですか?……、はあ、では言いますね」


何もないはずだ…、ないよね?


「まず……

   ・

   ・  

   ・

………です、これで以上です」

「……」

「……」


……やばい、わきゃんない。てか、省略されすぎだろ!?もっとかけよ!・・・でわかるわけないだろ…、舐めんなよ。


「……もしかして、『全く分からない』なんて思ってません?」

「……なんの事かな?」

「タメ口…、まあ、そこはどうでもいいです。いや、よくありませんけどね?確かに、長過ぎたかもしれません。 一言で言いましょう」

「……」


「貴方が相当なクズだからです」


こいつ、言った?私をクズと言ったか?どこがだ……


「まず貴方、この前客に『なんか、気に入らない』って理由でおでんぶちまけましたよね?次の日も、その次の日も…。今日で何度目ですか。次…、これもなかなかでしたね?……」


あーあー、なんも聞こえなーい。


「耳に手を当てないでください…、いや、何平然と帰ろうとしてるんですか?」


………。


「…もういいです。とりあえず、なんか言うことありますか?」

「…ありません」

「私も鬼じゃありません。紹介ぐらいはしてあげましょう」


これは……



「引き分けだ……」

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