第十二章  やっぱりバカだ、こいつ2

僕が戻るまでの間、妻は封筒の手紙を読んでいた。

「今日は結婚記念日じゃなく、僕が告白した日から10年目の記念日です」

その1行を読んで、由美はどう思っただろう。


「あの日、由美ちゃんを胸キュンさせたくて、一生懸命リハーサルまでしたけど、何だか格好悪かったよね?」

あの時の僕のサル顔と、鼻の絆創膏を思い出してくれたかな?


「今日は、そのリベンジ。地面は危ないからプールにしました。見ててね、由美ちゃん」

封筒を握りしめて見つめている妻の表情が、僕にはどう思っているかわからなかった。


それでも、クスクス笑う妻の仕草が堪らなく愛おしかった。

バカだ、こいつ・・・。


そう、由美は思っているのかもしれない。


僕は、しみじみ思うのだった。

僕の青春は、それほど悪くは無かったなぁ・・・と。


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