第12話 おっさん、ポイズンブレスを使う
昨日はあの後、起きることなく、ぐっすり眠ってしまったようだ。
目を覚ますと、すっかり朝になっていた。
顔を洗い、適当に朝食を済ませて、ギルドで出来そうな仕事を見繕う。
今日は魔物を倒して、Cランクに上がることが目標だ。
昨日も行った、人気のない森の手前の草原で魔物を探すことに。
「手始めに魔法を使って倒してみようかな?」
ちょうどよくこちら側に、スモールボアが突進してきたので、ファイアボールで応戦する。
1発目が当たると、痛々しい咆哮をあげて、その場で悶えていたが、直ぐにこちらに向かってやってくる。
2発、3発当てると、ようやくスモールボアは倒れた。
「案外魔物ってタフなんだな…」
倒れたスモールボアをアイテムボックスに突っ込み、次の獲物を探しに行く。
次はどのくらいの威力を込めたら1発で倒せるか計測してみることに。
その結果、2発分の魔力を込めたファイアボールなら、大抵のスモールボアが倒せることがわかった。
たまにタフなのか、当たりどころが良かったのか、2発分では倒れないのもいたが、3発分の魔力で当てれば、必ず倒せることもわかった。
すっかり溜まってしまったボアの死体を全てアイテムボックスに詰め込み、今度はポイズンブレスを試してみることに。
「うーん、ブレスってことは口から出るのかな?」
なんとなく自分の口から紫色の禍々しいビームが出るのを想像してしまい、顔を顰める。
「まぁなるようになるか…」
とりあえずマスクを外して、魔力を循環させる。
「…っ!よしっ!ポイズンブレス!」
魔法を使う時、特に杖などの媒体を使うわけでもなく、手のひらから出すわけでもないので、魔法を当てたい対象を指差して魔法を放っている。(なんとなく命中率もいい気がして)
そういうわけで、今回もとりあえず目の前にいるスモールボアを指差しながらポイズンブレスを使ってみた。
「これは驚いた…」
結果的に、ポイズンブレスが自分の口から撒き散らされることはなかった。
指差した場所周辺に紫色の靄が広がり、範囲攻撃となっていた。まだ制御が甘いのか、自分自身の方にまで靄が広がっている。
もし仲間がいたら巻き込んでしまうだろう…
しかし、ポイズンブレス1発で、スモールボアは簡単に倒れた。
「魔力消費も少なくて範囲攻撃ができるとは…でもまだ上手く制御ができてないから、周りに人がいる時は使えないな…」
ポイズンブレスが消えるまで、その場に留まって様子を見ることにする。
ちょうどいいのでお昼ご飯を食べることに。
毒が広がるところで食べるのは気が進まないが、自分は毒耐性もあるし、これを放置するわけにもいかないので仕方ない…
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