歩いた先に君がいたから。

@yukinosuke1905

序章。

『出会い』とは、2種類ある。不幸な出会い

と幸運な出会い。それは、世界のどこにいたとしても誰にしも訪れるもの。そう、それは誰にしも同じように、この物語の主人公 イアにも訪れるのである。


イアはステ猫。ステ猫は、産まれてすぐウミの親が何かしらの原因でいないため、育てられずステ猫になる。中には、ステ猫から幸運の出会いが降ってきてイエ猫になることもあある。それは、最初からイエ猫だった、猫と同じ扱いになる。

イアは子猫の時から、『猫屋敷』と呼ばれた場所に住んでいる。これはイエ猫とは少し違う。つまり、ステ猫を集めた大きな御屋敷に奴隷として飼われている。これがイアの不幸の出会いの始まりであるーーー。


大きな木材に模様が描かれたの扉。その前に、白と黒の縞模様の猫。首には赤茶色の鈴が着いた皮の首輪。鈴の横に金属のシルバープレートで『No.9』と書かれている。猫は小さいの前足で扉を軽くノックする。

トントン。


「どうぞ。入りなさい。」


扉の中から初老と思う男性の少し掠れた声が聞こえる。

猫は、ゆっくりと扉を開けて中を覗くように顔だけを出して震えた声で口を開く、


「お呼びでしょうか。オールドメン。」


それは女の子と思うくらい可愛らしく綺麗な声だ。


「やっと来たね。イア。私が呼んでから何分たった。ん?」

「すいません。。草掃除を、、っ」

パシンッ

イアの頬に強く熱い衝撃がはしる。

その頬を叩いたのは、人間とも呼べない生気を感じない人形のような男の子だった。服装は西洋の貴族のような青と黒で綺麗に装飾されている。目はグラスアイ。とても澄んだ海のような瞳だ。


「おまえ。また、オールドメンの前でいいわワケしたな。なんどいったら分かる。」


その無表情とは裏腹に声には怒りが籠っている。


「すいません、、ビスク様」



イアは頬を抑えながら、痛みで出た涙を拭い、腰を曲げて土下座をしながら弱々しくあやまった。


「まぁ、落ちつくのだ。ビスク。そんな強く叩いたらまた、その細い腕がとれてしまうぞ」


「はい、すいません。」


ビスクは、オールドメンと呼ばれる初老の男性に一礼すると壁際に足を揃え、たっているのだった。

(なんだって、、僕はいつも叩かれるんだ。)


イアは悔しい気持ちでいっぱいになった。


「それでだ、イア。私がおまえを呼んだ理由は分かるかい?」


「いえ、、」



「はぁ、、まったく。。今日はなんの日だ。」


「ケットシートゥエンティ祭です」


「分かっているじゃないか。今日は、町中にあの英雄ケットシーが描かれたランタンが飾られ年に1度の夏にしか行われない街最大のお祭りだ。」


オールドメンは長い白い髭を摩りながら部屋の窓から見下す夕焼けに染まる街を見ながら言った。街はキラキラと光っている。それがランタンなのだろう。多彩に光っていて、まさに宝石のようだ。


「それと僕が呼ばれたのは、なんの意味が。」


すると、オールドメンは髭だらけの口角を上げ、ニヤリと笑う。


「どうやら、今回のケットシー祭の屋台には、南の国から珍しい果物を商人が売り付けに来ているというのだよ。」


「あの、、おつかいですか?」


「理解があるじゃないか。」


それを知った瞬間、イアは強く顔を横に振る。


「ちょっと待ってください!僕はこの御屋敷さから出た事がありません!怖いです!帰ってこれるかっ、、がはぁッ!?」


最後まで言い切る前に細い腕がイアの顔を殴っていた。また、頬に更に強く痛みがはしる。


「口答えするなといったな!イア!立場を弁えろ!おまえみたいな汚いステ猫をオールドメンは、やっとって下さってるんだぞ!!お使いがいやだと?!ふざけるなっ!!」

殴ったのは、やはりビスクだった。


「まぁ、落ちつくのだ。ビスク。いいか、イア、おまえは能無しの猫なんだ。そんなおまえに私は大事な仕事を与えてあげよとしてるんだ。わかるだろ?」


オールドメンは、優しくも圧のある言い方で、瞳を黒く光らせ、問いかけた。


「わ、わかりました。僕、、行きます。だから、もう殴らないで。」


「いい子じゃないか、イア。それでいい。私は珍しい果物が大好きだ。楽しみにしているぞ。」














不思議な事にここの国。いや、街では何故か御伽噺のように猫が会話し、二足歩行出歩く。人形は、、命が灯ったように人間のように生きる。ただ、そこには人がいない不思議な街。ただ、勘違いはしてはいけない。世界は違えど、紳士並びに淑女の皆さん。貴方と同じ、不幸な出会いと幸運の出会いに悩まされ、足掻き、冒険するのはなにも変わらない。。だから、もう少しこの世界の深い所までページを読み進めて行こうでありませんか。この不幸で不思議で暖かい御伽噺の中でイアと共に。物語を進む、つまり、歩いてまもなく。貴方が望む次が待っております。ランプを片手に、そでは、行ってらっしゃいーー。









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