第参話 【ストーカー】
飲み仲間であり、スナックでバイトしていた友人の話。
キャバクラではなく、あくまでもスナック。
髭のママと友人の二人でやっていて、カウンターメインで四人掛けの席が一つだか二つだかしかない店だったらしい。
【ストーカー】
「最近、家に帰ると外に男が居るの」
久しぶりに会って飲んでいたら、友人がいきなり話し出した。
因みにスナックのママは髭のママだが、友人は女性である。
友人が家に帰る時間は、夜明けに近い夜中である。
そんな時間に男が?
しかも友人が帰る時間に合わせて居るのなら、それはストーカーでは?
「こんな所で話してないで、警察に行った方が良くないか?」
友人の顔が曇る。
「行くなら神社かなぁ」
は?
「電柱の下に立ってるんだけど、足が無いんだよね」
はあ!?
「怖っ!何それ、怖っ!!引っ越したら?」
「あ、自分の家じゃないの。彼氏の家。アパートの二階なんだ」
仕事が終わったら彼氏の家に行ってるのか。
あれ?お前の彼氏、サラリーマンだよな。
ちょっと迷惑じゃ……まぁ、そこは個人の自由か。
「でね、不思議なんだけど、黒い影なの、ソイツ。あの、見た目は子供、頭脳は大人な漫画の犯人のように」
例えが面白すぎて、一瞬
でもそれって……?
「何で男だって分かるのか、やっぱ不思議だよね〜」
「彼氏に話した?」
「うん。笑われた。でもさ、最近気付いたんだけど、前は下を向いてたのに、こっちを見上げてる気がするんだよ」
「最近?」
「彼氏に話してから」
それから三ヶ月くらいして飲みに行ったら、その彼氏とは別れていた。
心配症が高じて、スナックのバイトを辞めるように言われて別れたらしい。
「だって、彼氏より髭のママのが付き合い長いんだよ?どっちを選ぶかなんて、考えるまでもないよ」
黒い影の男じゃない、本当のストーカーに気を付けて!と、注意しておいた。
更に後日談。
その元彼氏は、彼女の五百円玉貯金の中身を、全てゲーセンのコインと入れ替えていたそうだ。
別れてから友人と旅行に行こうと缶を開けたら、判明したそうだ。
「きっと1枚ずつ取り出したんだよ!あの馬鹿!そんな労力使うなら、私にお金貸してって言えば良いじゃん!!」
まぁ、返す気が無かったんだろうな。
別れて正解だったね!と言っておいた。
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