筍のおはなし

花田 護(はなだ まもる)

1




主人公はボク、小学校低学年くらいの男の子。


ある日タケノコが地面から、ちょっとだけ顔を出しているのを見つけて話しかける。



「どうして出てこないの?」と、タケノコに尋ねるボク。



少しだけ顔を出していたタケノコが、「だって怖いんだもん!」そう言い顔を引っ込めた。




「そんなことないよ!……って言いたいところだけど、ボクも外の世界が怖いんだー…。」


タケノコに話しかけながら、遠くを見つめるボク。




「………そうなの?」

とタケノコは、また顔を出す。




「うん。だって車は、ビューーって、ボクの前を通るし、みんなボクより大きいんだよ。それなのに頑張るボク、えらいよね。」



「そっか。ボクくんみたいに、タケノコも頑張りたい…。でも、こわいよー…。」



「大丈夫!ボクが毎日、様子を見に来るよ!

じゃあ、またね。」


「うん、またね。」




…と、それから毎日、タケノコのもとに足を運んだボク。







雨の日は傘をさして、風の日は身を呈してタケノコを守った。



タケノコは、ゆっくりと、すくすく育つ。




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