ミナトさんの日常 タラレバ編

鷹美

第1話


皆様は、悪い夢を見たことがあるだろうか?


殺人鬼や怪異と鉢合わせた夢。


山道で熊と会った夢。


交通事故にあった夢。



数えだしたらキリがないと思う。



今現在、私の身にも起きていることがある。

出来れば夢で逢ってほしいが、自分をつねることも叶わない。





ミナトは、現在の自分について改めて状況を確認する。

自分がいる場所は、今住んでいるマンションの殺風景な自室の居間。


居間には、下にテレビやテーブルが置けるタイプのロフトベットとパソコン、テーブルと全身が映る鏡と備え付けのストーブと本棚位。



その部屋でミナトは、鏡の前で横になっているのだが…映っている自分の姿が赤ん坊の姿だったのだ。


推定の年齢など分からんし、着ている服装もなぜかあるはずもないベビー服。

力がうまく入らない為に自分をつねる事が出来ないが、肌で感じる風がかなり現実味を帯びている。



転生したら○○系統では、赤ん坊の姿でも俺強ぇぇとなっているが現実はそう甘くはなく…背丈と筋力は赤ん坊と同じ、歯もないから言葉を話すこともできない。

救いは知能や自我は異変が起こるまえのまま。


赤ん坊が叫んだところで、都合よく部屋に誰かが突入するわけでもない。

突入するのは事後で異臭がしたときくらいだろう。


実は魔法が使えて宙でも浮かないかなぁ等と考えていると、部屋の中からバイブ音が部屋に響いた。




現状打破の方法があるじゃない!!



唯一、自分に備わるチート能力の知能と現代社会のチートアイテムのスマホ。

これがあれば助け位は呼べる。


ぱぁぁとミナトの心に一筋の光が差し込む。



ここに寝てるならスマホはきっとテーブルの上。

大した高さではないから、ワンチャン行けるだろう。



ミナトは、ぁああと聞きなれない普段より高めの声を出しながら這いずるようにテーブルに向かう。

後少しという所でピタリとミナトの動きは止まる。



そういえば、スマホが震えた場所ってどこらへんだっただろうか。

そう考えていると再びミナトのスマホが震える。


今度の震えている時間は長い為、電話がかかってきているようだ。

出られないのは申し訳ないがスマホを探すのは今しかないだろう。



拙い感覚を頼りに音の発生源を探る。

音の距離からして残念ながらテーブルの上ではない。


テーブルよりももっと上…まさか!

はっと上を見てみると音はロフトベットの上にあり、枕元で充電したままのようだ。




詰んだ。



ズーンと周囲が暗くなる錯覚が起きたミナト。


神よ私が憎いならひと思いにやってくれ!!

ミナトは全てを諦めて仰向けになった。



こーゆのって大体がボーナスステージじゃない…なんで私の時はデストラップなんだよぉ。

そんな負の感情が出ているとインターホンが鳴る。



いや、鳴ったところで。

なんて、思っているとガチャっと玄関が開きズカズカと人がこちらに向かってきた。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る