第15話自分が一番愛されたい願望断ち切れない問題

何はどうあれ、相手が自分に楽しい恋愛体験をさせてくれるかどうかが重要で、自分が正妻より好かれているかどうかとか、自分の方が相手より気持ちが大きいからバカみたいに思うとかっていうことは問題じゃない。なんてかっこいい考え方なんだろう。自分というものがしっかりしていてブレのないスタンスで恋愛しているって感じ。私もこんなふうに思えたらいいのになー。

最初はわきまえていた。自分はファンの中の一人で、一番にはなれないこと。一番になろうとするから既婚男性と恋愛すると不幸になるって言われること。だから相手が喜んでくれることだけを目的にお付き合いしていこうとしていたさ。でも、私には譲れないポリシーがどうもあるみたい。

確かに相手は私に楽しい恋愛体験をさせてくれる。私も同じような価値は提供できているつもり。それでよしとすればいいのに、私は性格曲がっちゃっているからか、それだけじゃやっぱりだめなのかもしれない。

少なくとも、今自分が相手の恋愛対象になっているんだと自覚している限り、相手には他のどんな女性に対しても同じ感情を抱いて欲しくないのだ。それがたとえ正妻であっても。

彼が正妻に自分に向けるのと同じような輝きのある笑顔を見せた瞬間、私は何かサーっと引けるような冷めた気持ちになった。妻とどれだけの男女関係を継続しているのかはあえて聞いてはなかったので、考えないようにはしてたけど、そんなに喜ばしい顔を見せて嬉しそうにするってことは、やっぱり冷めきってはないんだろうし、大事なんだろうなって改めて突きつけられた感じがした瞬間、私は我にかえった。正直ものすごく自分がバカばかしく思えた。こんなに彼に冷めた感情をおぼえたのは初めてかもしれない。

やっぱり私は夫婦が男女のものとして成り立ってない人としか真剣に付き合いたくないのかもしれない。どこかで自分は一番じゃないと気がすまない。プライドが高いから?あんなに好きだったのに、あの瞬間、無になった。それでもって、自分の夫が逆に愛おしくさえ思えた。自分の夫は確実に私が彼の中で今までもこれからも絶対一番だと確信できるし、絶対的な自信が持てるからだ。最低だな、私。でもそれが私か。

楽しい恋愛体験の追求だけで婚外恋愛を楽しめないのが私だってことに気づいてしまったのかもしれない。じゃぁこの先、もうこんな体験談は書けないのかな?いや、多分彼にこだわることなければ次の恋愛体験が書ける!笑。急にポジティブ!そんなこんなで、ドロ沼不倫に足を突っ込みそーな勢いまでいってたけど、急に沼の形も見えないよーな都心のビルの中まで引き戻されたな多分。笑。

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