Web小説をただ読みつづけた者の末路

@yugif0722

優れた読者が行き着いた一つの道

「あー、つまんねぇわこれ」


暇つぶしに読んだネット小説に対し、彼は不満を漏らす。


「分かりづらいタイトル、山のない内容。なんでこんなもの公開してるんだろ、恥ずかしくないのかな?」


いつの間にか毎日の日課となったWeb小説巡り。暇さえあれば作品を読み、レビューを残す。

レビューは作者のためになるとどこかのネットの記事で読んで以降、これは己の使命と思い、レビューを書くようにしている。


「なんで、こんな書き方するかな、普通に考えてわかるでしょ」


そして、彼はレビューを書く。彼の思う作品の粗を辛辣な言葉と共に。

レビューが作者のためになるというのであれば、辛辣な言葉であろうと、作者の今後の成長になるから良いことなのだと信じて疑わずに。


そんなことを繰り返していくと、人間というものは面白く、一つの感情が湧き出してくる。


「こんなんで読まれるなら、俺でもうまくかけるんじゃね?」


素人でも有名になった人もいると聞く。

自分は小さい頃からずっと本を読み続けていたし、小説を読む日課はインターネットのWeb小説に変わってからも続いている。

人生においてこれだけの作品を読み続けていたんだ、作品を生むことに対する理解の土台は出来てるだろう。


「まあ、いっちょやってみますか。もしバズっちゃったりしたら、どうしよっかな」


そんな淡い夢をいだきながら、彼はよく使っていたサイトの作品投稿のページを開いた。


そして、彼は作品を作り上げた。

面倒くさいと投げ出さなかったこと、その点において、彼は素質があったらしい。

さらに、幸運なことに作品を読んでくれる人もいたようだ。


素敵な素敵な読者が。素敵な素敵なレビューと共に。

「あー、つまんねぇわこれ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る