ReYouth
蒼山皆水
第1話 青春とは
青春とは、憧れと後悔の結晶である。
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夕焼けが、泣きたくなるほど綺麗だった。
世界に絶望しながら、
何もかもがどうでもよくなった。
かといって、命を絶つ度胸はない。
少しでも気分を変えたくて、いつもは通らない道を進む。
その途中で、ある建物が視界に入った。
看板が出ているので、何かのお店らしい。ガラスの外からは、小さなカウンターと椅子だけが見える。ごく小規模な不動産屋といったイメージだが、実際に何を販売しているのかはよくわからない。
護は、なぜかその建物に惹きつけられた。
看板には【ReYouth】と書かれていた。
リユース? だとしたらReUseじゃないのか?
疑問に思って、スマホでYouthを調べてみた。
若者、青年……。
「青春……」
護が呟いたその瞬間。
「そう、青春だ」
「うわっ!」
スマホから顔を上げると、吸い込まれるような、大きな双眸がそこにはあった。
気配もなく現れたのは、護よりも少し背の低い女性。十代にも、三十代にも見える不思議な人だった。いや、人ではないのかもしれない。どこか浮世離れした雰囲気を感じる。仙人。超常現象。幽霊。神様。そんな単語を連想した。
「少年、青春をやり直してみないか?」
「は?」
「ここは、後悔を抱えている者だけに見える店だ。時を戻し、青春をやり直すことができる」
「何を言って……」
変な人に絡まれてしまった、などと思いながら、護は興味をそそられてもいた。そんなものがあるなら、縋りたかった。
うさん臭さは限界突破しているし、青春をやり直せるなんて、本気で信じているわけではない。
しかし、何もかもが、もうどうでもよくなってしまったのだ。
だから、過去をなかったことにできる可能性がひとさじでもあるなら、縋ってみてもいいのではないか。そう思った。
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