第2話 選択の狭間
ツンツン、ツンツン、何かにつつかれる感触と共に僕は気がついた。
「うぅ…」
確か死んでしまったはず、ここは何処なのか、もしや死後の世界か?等と思いながら目を開けると、そこには何もない真っ白な空間で、血まみれで倒れた僕を手にした杖でつつく女性がいた。
「はぁ…やっと起きたわ」
「うげっ…ゴボッ…ハァハァ」
僕は喋ろうとしたが、口の中の血にむせて上手く喋れず、血を吐きながら浅い呼吸をした。
『無理に喋らなくて良いわ、聞こえてるなら返事して』
突然頭響いた声に驚いたが、念話的なものだと気がつき返事をする。
『はい、聞こえます』
『やっと仕事ができるわ、早速で悪いけど、選択してくれる?』
『え?選択?というかここは?僕はどうなって…』
『ちょっと待って、アンタもしかして何も聞いてないの?』
『えっと…多分』
『はぁ…どうしてそんな状態で来たのか分かったわ、ひとつひとつ確認していくわよ』
『はい』
その後、混乱しながらも念話を続け、僕は色々とやらかしてしまった事を把握した。
現在おかれている状況はこうだ。
召還された勇者は、本来ならば状況説明係によって、魔王の役割はいることで共通の敵として、人間同士で戦争をして、星を荒らされないようにするために倒しては駄目な事、勇者の役割は魔王のお手伝いで、最終的に魔王を倒す振りをして帰れる等の説明を受け、チートスキルを一つ貰い召還される事。
僕の場合は瀕死状態で、本来ならば成功していないはずが、何故か成功していた為、状況説明されずに召還された事。
魔王を倒す振りをして帰る時に、選択の狭間にて選択係へチートスキルの返却、魔王のお手伝いによるリザルトポイントで、元の世界で運が良くなる等のご褒美を選択して貰える事。
僕の場合は心臓を貫かれていて、ここではギリギリ念話できる状態だが、元の世界へ戻るとそのまま死んでしまう事、魔王を倒している為に、ポイントがとんでもないマイナスになっている事。
さらに、死ぬ間際魔法が使えなかったのは、仲間達に騙されて魔力とスキルを封印されていた事が、選択係さんの鑑定により判明した。
『アンタ、色々と終わってるわね』
『あはは…』
『ここまで酷いと上に判断して貰わなきゃいけないから、しばらくここで待っててちょうだい』
『はい…』
僕は選択係さんが戻るまで、現実逃避する為に目を閉じた。
ファンタジーをぶっ飛ばし?! 宇宙戦艦無双 個野阿堂 @kono_adou
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