第2話 never生きねば

 俺はようやく意識を取り戻した...。

「息ができる!!恐ろしく爽快ッ!!」

 特段身体に不調もない。周囲に生き物の気配はないし、ひとまず危機は脱したようだ。


 うむ、少し鮮明な幻覚を体験した気がする...が、あのような生物は生まれてこのかた見た事がない。まぁ気にしないようにしよう。


 一旦安堵...だがしかし、今自分が置かれた環境が非常に不味いことを理解するのに、そう時間はかからなかった。


 まず、先程は体勢を変えられなかった為に気づかなかったが、自身を中心に円状の血溜まりが出来ているのだ。よく目を凝らしてみると、血漿や細かな肉骨片が土壌にシミをつくっている。俺が身につけている綿製のシャツにも、それらはこびり付いていた。


 次に所持品の喪失を理解する。周りに置いていた薬品、そして装備品...小銃FGC-9やケイバーナイフといった武器類や食糧品は見当たらない。


 差し迫った脅威がない以上、第一に衣食住の確保、第二に現在位置の確認を行わなければならないだろう。


 俺は近くに水源を見つけ、拠点の設営を開始した。小川で見つけた、両生類...?角が生えたカエルのような生物。ここは周囲から孤立した場所、例えばギアナ高地の如く独自の生態系が広がる土地なのかもしれない。


 手頃な石どうしを打ちつけて石器を作る。次にそれで枝葉を切り出し、倒木に隙間なく立てかけていく。道具作りからシェルター作成まで2時間ほど。ついでにいくつか装具を自作。


 あとは日が暮れる前に火を起こさねば...。


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