第46話 マーク対コスタス
マークは一人突出して魔族の集団へと突っ込んで行った。一人で突出しているためすぐに魔族達に囲まれてしまうが手に持った鎌を振るうと囲んだ魔族達の首が跳ね飛ばされる。
圧倒的な力でマークは次々と魔族の屍を築いていく。首と胴体が離れた死体がマークが通った道に残されて行く。薬を服用して強化された魔族ですら彼の相手にはならなかった。
「誰かアイツを止めろー!」
魔族の怒号が響き、一斉に数名の魔族がマークへと襲い掛かるがその全てをマークは鎌で切り刻む。今現在、マークを止めれる者は存在しなかった。
圧倒的猛威を振るうマークに対して魔族もついに決意を固め、薬を更に服用し始める。多くの魔族はその行為に躊躇がありならがら服用する。体への負担が大きい行為ではあるが、それでもマークを止めるにはそれしか方法はなかった。
薬を更に服用した魔族達は何とか一瞬で殺される事は無くなったがそれでもマークには届かない。僅かな足止めにはなるがマークに傷をつける事が出来なかった。
獣の姿をした魔族の獣鬼種が主だった一団であったが次第にその割合が額にツノの生えた角鬼種が多くなって行く。
種族が変わろうともマークを止めらる者は現れずにどんどんと死体が増えていく。マークは大量の返り血を浴びながら凶悪な笑みを浮かべ更に死体の山を増やす。
「皆のもの! 下がっておれ!」
戦場へけたたましい声が響く。マークを囲んでいた魔族がその場から離れると空からマークに向かって何かが降ってくる。それをマークは後ろに飛び跳ねて避けると先程まで彼がいた場所に何かが落ちて地面が凹む。砂埃が立ち上がり視界を奪うがそれはすぐに晴れて姿を現す。
凹んだ地面から現れたのは赤黒い肌に筋骨隆々の姿、額からはツノが二本生えた男。魔族のトップの一人である角鬼種のコスタスである。
3メートルほどある巨大からコスタスはマークを見下ろしながら手には棍棒を持ち構える。マークも鎌を構えてコスタスを睨みつける。二人の間に張り詰めた空気が流れる。そして示し合わせたかのように同時に動き出した。
コスタスの首に向かって鎌を振るうマーク。それをコスタスは手に持った棍棒で払い除ける。払われた勢いのままマークは回転して再び鎌で首を狙うがコスタスはそれを屈んで避ける。空振りとなり無防備となったマークに向けてコスタスは棍棒を振り下ろす。しかし、それはマークが後ろに飛ぶ事により避けられる。
「流石は角鬼種の代表だな。そこら辺のヤツとは段違いの強さだ」
マークは正直な感想をコスタスに述べた。今までの魔族とは違いかなりの強さを誇るコスタスを前にしてマークは胸が躍っていた。魔族を惨殺していた時とは別種の笑みを浮かべながらマークは再び鎌を構え直す。
「黙れ異常者。ここで散って行った仲間の仇を取らせてもらう!」
コスタスが大地を蹴り再びマークへと接近する。一進一退の攻防が彼らの間で行われる。どちらも決定的な攻撃が当たる事はなくただ時間だけが過ぎていく。しかし、それはマークが有利な事であった。
マークの鎌の遺物の能力は他者の体力を刈り取るものである為、長引けば長引くほど相手の体力はどんどんと削られていく。どんなに体力がある相手でも先に相手の体力が尽きる自信がマークにはあった。このままの状態が続けばやがてコスタスの動きが鈍ると確信しながらマークは戦っていく。
だが、その事はコスタスもわかっていた。マークは魔族との交戦回数が多い部類の遺物使いでありその能力はコスタスも把握していたのである。その為、短期決戦を望んでいたコスタスは一度マークと距離を取る。
マークから追撃が来る前に懐から薬を取り出して直ぐ様それを服用する。薬の効果は直ぐに現れコスタスの筋肉が更に大きくなった様に思えた。
「まだ薬を服用する前だったのかよ」
コスタスに接近しながらマークはぼやく。鎌の射程範囲に入るとマークはそれを振るい、コスタスもそれに合わせる様に棍棒を振るう。鎌と棍棒が激しくぶつかりそしてマークが吹き飛ばされる。
地面を転がりながら吹き飛ばされるマーク。十数メートルほど吹き飛ばされた辺りで止まる。受け身を取ったとはいえ全身にダメージを負ってしまう。痛む体を抑えながら前を見るとそこにはコスタスがいなくマークの体に影が落ちる。上を見るとコスタスがマークに落ちてこようとしていた。
避けれないと判断したマークは鎌でそれをガードする。今までにない衝撃と音が辺りへと響き砂埃が舞う。
「この薬の力中々だな」
砂埃の中立っていたのはコスタスであった。マークは先ほどの衝撃で出来たクレーターの中心で頭から血を流しながら倒れていた。
「流石に今の攻撃で死んでいるだろうが一応確認しておくか」
コスタスはマークの生死を確認しようとした瞬間、マークから圧倒的な殺気を感じて後ろへ飛び退く。マークはゆらゆらとしながら立ち上がっていたのである。
足取りはふらふらで立つのがやっとの様に見えたがそれでも何かあると思わせるだけの凄みをマークは発している。
ふらふらになりながらマークは鎌を手に持つとそれを自分の体へと差した。刺された鎌はマークを貫通する事なく体へと飲み込まれていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます