傷口

どうしても走りたくないのに、歩く速度じゃもどかしい。

やりたいことは沢山あるのに、起き上がろうとするのはつらい。

無数の棘を心に飼うこと。わざと突き刺して安心すること。

たった一つの慟哭を飲み込んで、「また明日」って笑って返した。

たくさんの今日が続くこと。

知らないうちに、蟻を踏み潰して歩いたこと。

空がずっと赤かったなら、ぼくはきっと楽しめるのに。

青空の下の白い野花を、衝動的に折りたくなること、

きみなら解ってくれるでしょう?

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