弐拾捌
ステルス妖魔がどのような
ネットの情報なので
相手にするのも
誰に対する説明責任なのかは不明だが過激な発言で視聴率を取りたがるコメンテーターも居る。義務的に同じ番組に出演した
ネット上への書き込みはネットカフェから
妖魔の案件は集団の生命に関わる為に個人のプライバシーは無視される。今回も四鬼の情報開示要請に従わない場合は運営停止の
現在は四鬼の
それはニュース番組での業炎鬼代表者の発言からも明白であり、反応する相手が居ない為にネット上での騒ぎも限定的だ。
そんな状況で裂は四鬼より池袋駅地下に設置された会議室に呼び出されていた。
相手は
……扉の前を扉よりデカイ奴で
扉に背を預け
「よう、数日で色々と有ったな」
「有ったのはお前達だろ」
「ま、その通りだ。極一部の知った所で何も出来ない連中が状況を教えろって色んな方法で連絡して来るよ」
「そう言い返してやれば良い」
「
「アカウントを変えて連絡してくるか?」
「そうそう。いやぁ、凄いね馬鹿の考える事は分からねえや。ま、四鬼のHPで公式に電話とメールは人手不足で個別対応不可って書いて電話線も引っこ抜いたけどな」
「どうせ交番や警察の方に行くだろ」
「そうそう、お陰で警察上層部と四鬼上層部でバチバチよ」
「
「まあまあ、ちょっとしたジャブだって」
裂の明確な拒否を物ともせずに竜泉はヘラヘラと
「まずは俺達が担当する筈だった妖魔を潰してくれた礼を言わせてくれ」
「先に潰して欲しいものだ」
「いやぁ、
「そうか」
「まあ最後の1体だし他に担当する事も無いってだけだがな」
「人手不足が
「良いの良いの。どうも狙われてるのはお前さんぽいし、
「恐竜妖魔ではお前達が先に狙われただろう」
「そうそう。いやぁ、東京近郊に居てくれるのは有難いが法則性が分からねえのが
「狙われそうな俺を泳がせて釣るくらいしか無いってか」
「そうそう。いっちょ大物を一緒に釣り上げよう、ぜっ!」
「ウザ」
両手を銃に見立てた竜泉がウィンクをしながら言葉に合わせて裂に指を向ける。
そのお笑い芸人の様な
「アンタ、これがバディとか大変だな」
「これで交渉が上手いから
「おっと、お前らみたいな
「
「ちょっと、フォローを頼んだんだけど!?」
四鬼の3人が
裂が読んだ
そんな灰燼鬼の自分だって麻琴と茶番に興じる事も有るのだから他の業炎鬼系の四鬼も似た様な面が有るのだろうと考え直した。
「で、俺に散歩でもしろって言うのか?」
「そうそう。あと、君に付けてる監視を減らそうと思ってね」
「言って良いのか?」
「いや~、この間は
「どうせ監視が有るのは変わらないんだろ。言われても言われなくても変わらない」
「よく分かってらっしゃる。ま、その分だけ他に人員を
机に両肘を着いて下から裂を
恐らく、先日の龍牙と
本当に龍牙が事を起こしたか裂は知らないが高確率で龍牙が関わっているとは確信している。
四鬼側も裂の行動はネット上での動きも含めて監視しているので裂が何かしたとは思っていないだろうが、状況の中心に居るとは思っているのだろう。
……ま、ステルス妖魔については中心に居るのは確かだな。
深く考える前に
「俺がリークしたヤツに心当たりが有ると思っているんだな」
「まぁね。ただ君も影鬼内で大変だろうし言わなくて良いよ」
「そっちで勝手に調べるからって?」
「そうそう。どうせ君から証言を取っても調べないといけないのは同じだしね、変に
「そうか、助かる」
「心当たりが有りますって言ってるようなものだけど、気にしないんだね」
「どうせ影鬼側だって俺からある程度の情報が
「意見が合うじゃないか。じゃ、ちょっと君に歩き回って欲しいエリアを送るよ」
そう言って竜泉がスマートフォンを操作すると裂のスマートフォンに着信が有り四鬼から複数の位置情報が送られてきていた。
東京駅、新宿駅、池袋駅、立川駅、八王子駅の5つだ。
「日中の人口密度が多い所ばかりだな」
「まぁ人が多い所で四鬼側の監視を付け易い場所を選んだだけだよ。渋谷と品川も
「無い物の証明はどうするつもりだ?」
「1回ずつ適当に歩き回って貰って切り上げて良いよ。妖魔が移動してたら場所を指定しても意味が無いしね」
「
しかしこの程度の話なら呼び出す意味は無くメッセージだけで済ませれば良いはずだ。
その事に疑問を覚えてスマートフォンを見ながら
「この部屋は実は電波に対して特殊な処理が
「はぁ」
「ちょっとしたハッキング対策らしいよ。サイバー室からは
「何か有る
「そうだね。俺もこんなジメジメした場所には来たく無いんだけど、組織って面倒だ」
そう言って竜泉と斧前が立ち上がり、
話は終わったと判断した裂が立ち上がり振り返れば佐右ヱ門が扉を塞ぐ位置から移動しており帰る事を
やっと終わったと
年始で普段とは客層の違う池袋駅の構内を歩きつつ、裂は面倒が続く事に再度溜息を吐いて
年始にも関わらず不景気な様子の裂に気付いた周囲の人々は同情の視線を向け、裂はそれを全て無視して電車に乗った。
▽▽▽
成人の日も近付いてきた中で更に渋谷駅、品川駅と他にも山手線の駅を複数指定された裂は高田馬場駅等で1日3食ラーメン等の高カロリー生活を送ったがステルス妖魔の気配も無いまま新学期を
3学期は短く進路希望の
流石に本音でフリーの
3年に成ってから大学受験の様子が無いと担任や進路相談の教員から何かを言われるかもしれないが、その時はその時だ。
相変わらず四鬼の監視は居るので人との接触は最低限に控えた1月末、裂は再び池袋駅地下の四鬼が用意した会議室に呼び出されていた。
……そもそも影鬼側の動きが分かってるなら場所か日付をズラせよ。
わざわざ連絡してくるので何か理由が有るのだろうが裂からしたら面倒な情報を増やされる方が困る。
溜息を吐きつつ地下へ続く関係者以外立ち入り禁止の扉を見つけると四鬼の
体良く黒子のボディガードにされた事に気付いた裂が席に着きながら溜息を吐くと先日と同様に
「いやぁ、今日もわざわざありがとうね。あ、今日は影鬼の人達が
「は?」
「へぇ、君でもそんな風に驚くんだね」
「どっちかって言えば嫌がってるんだ」
「おいおい、自分の居る組織だろう?」
「アンタと会話している姿を見られるのが嫌だ」
「気持ちは分かる」
「
「コントがしたいなら大阪に行け」
「いやいや、
「だろうな」
大阪の空気に業炎鬼の様な
鼻で笑った裂は
裂として少し意外だったのは背後で扉を塞いでいる
首だけで後ろを向いて見れば
「なあ、勘違いなら良いんだが、俺に同情してないか?」
思わず振り返って斧前と竜泉に向けて問い掛けると斧前は目を閉じ、竜泉はわざとらしく横を向いて口笛を吹き始めた。
「おい、何をさせる気だ」
「まあまあ、カツ丼食べない? 何ならウドンも付けるよ?」
「取り調べの食事は個人負担だろ」
「大丈夫、俺の
「
静かなノックの後に会議室に案内してきた黒子がカツ丼とウドンをお盆に乗せて運んでくる。
冗談かと思ったが本当に運ばれてきた食事に目を見開いた裂が警戒心を強くする中、竜泉と斧前の前にも
「お前らの飯のついでかよ!」
「いやぁ、実は
「もう良いわ」
食事中はあまり話さないつもりの四鬼3人に合わせて裂も
いくら裂が若いとはいえ四鬼達とはメニュー的にも食事の速さに差が出る。3人の事を待たせる事に成ったが、メニュー選びが悪いと判断して待たせる事は気にせず食事を済ませた。
裂が食事を終えて
「さて、君には申し訳無いが、池袋地下迷宮に挑んで貰いたい」
四鬼が
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