第25話
ついに着きました、アニメリーゴーランド。全国各地にショップ展開する、超有名アニメショップらしい。木崎の早口解説で知った。
中々大きいビルを構えており、かなりの人が出入りしている。ジーパンにチェックシャツ、変なハチマキというステレオタイプのオタクは一人もいない。残念だ、あれ生で見てみたかったんだが⋯⋯絶滅危惧種なのかな。
「おぉ⋯⋯す、すげえ⋯⋯」
さすがの俺も初アニメショップに気圧された。一面アニメ、アニメ、アニメ、アニメ!俺の見たアニメも何個かポスターが貼られているが、9割以上は知らないアニメだ。それなりに見たような気でいたが、まだまだ氷山の一角だったらしい。
「見てみて天城くん!ほらこれ、忍者家族のグッズだよ!これは魔殺の弦で、こっちがニート転生!」
水瀬先輩は、俺に自慢するようにアニメリーゴーランドの店内を案内する。身長も相まって、まるで遊園地に来た子供のようで可愛いな。
水瀬先輩が教えてくれたコーナーは、かなり大きなアニメリーゴーランドの店内でもかなりのスペースを占領している。尋常じゃない。
「めちゃくちゃコーナーでかいっすね」
「そりゃそうだよ〜!天城くんみたいな一般ピーポーが知ってるくらい、有名なアニメなんだから人気も凄いんだよ!」
一般ピーポー⋯⋯死語だろ⋯⋯。
「へえ⋯⋯タオル、クリアファイル、ペン、キーホルダー⋯⋯⋯⋯なんだか色々あるんすね」
「そ、そこら辺のアニメグッズすぎるアニメグッズは、集めるだけ集めてタンスの肥やしになる事が多いんです⋯⋯」
アニメキャラがでかでかとプリントされたグッズを持っている俺に、木崎が優しく教えてくれる。詳しいな。
「木崎さんも、こういうの学校には持っていかないけど買ってるの?」
「は、はい。その、漫研に入ってる癖に何言ってんだ、って思われるかもしれないんですけど⋯⋯。や、やっぱりオタクは息を潜めて生きていくのが⋯⋯良いと、お、思うんです。
私、放送部に最初入ってたんですけど、オープンでガンガン広めるタイプのオタクが集ってて、なんか違うなってなって⋯⋯」
「うんうん」
「こ、校内放送で嬉々としてアニソン流したり⋯⋯声優ラジオの真似事を、昼休みに放送してたり⋯⋯な、なんか見てられなくって。そんなある日、鶫ちゃんに会って⋯⋯色々あって、一緒に漫研に入ったんだ。鶫ちゃんは自己主張控えめのオタクだったから、気があったの⋯⋯」
「へえ〜。俺はオタクじゃないからあれだけど、なんとなく木崎さんの言いたいこと分かるよ」
あくまで客観的な意見だが、誰にも迷惑をかけずにひっそり楽しんでいる趣味があるのに、一部の目立つ迷惑なファンのせいで、その趣味自体が悪く言われるというパターンは良くあるだろう。特に、今でこそオタクという存在に特別忌避感のある若者は居ないだろうが、ほんの10年前はオタクだとバレれば学校生活終了レベルの時代もあったようだし。
オタクには、隠れなければならないというDNAが刻まれているのかもしれないな。知らんけど。
「で、ですよね!?やっぱり、オタクって隠れて迷惑かけないように、ひっそりとやるものですよね!?」
「まぁ迷惑かけないのに越したことはないけど、何が好きでも良いんじゃないかな?オタクだからどう、ってのは無いと思うけど⋯⋯」
それに、こんなにオタクがいっぱいいる所で言わないで欲しい。たまに過激派みたいな人が睨みを利かせてる気がするから。こえーよ。
「もー、姫華もそんな毒にも薬にもならないような話、天城くんにしてもつまらないって!折角アニメリーゴーランドに来たんだからさ!楽しもうぜ!」
そう言って俺たちの肩をバシバシ叩く水瀬先輩。ああ、この人が女神か⋯⋯。
気を取り直して、アニメリーゴーランドを回り始めた直後、見知らぬ男がこちらを見ていることに気付いた。なんだ?と思ったのも束の間、その男はズカズカとこちらへ歩いてきて、水瀬先輩に話しかける。
「み、水瀬さん!偶然だね、アニメリーゴーランドで会うなんて!」
「お?あ、あぁ〜⋯⋯
諸田くんは満面の笑み、水瀬先輩は引きつった笑顔。どういう関係なのよ?
諸田という苗字を聞いて思い出した、こいつは水瀬先輩と同じ3年2組の男子生徒だ。全校生徒把握している俺の情報網を舐めるなよな。
だが、ただのクラスメイト相手にこんな反応がくっきり分かれる事あるか?⋯⋯まああるか、会う予定の無い友達と偶然会うのが嫌いな奴とかいるしな。俺?俺はほら、友達がね?言わせんなよ、悲しくなるだろ。
少し気になった俺は、
⋯⋯この
閑話休題。
『
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
水瀬絢香 →
好感度:-65
諸田平二 → 水瀬絢香
好感度:+95
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
oh...
どうやら、諸田くんは水瀬先輩の心をもろてはなかったようだ。なんちゃって!(激サムギャグ)
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