SEXtasy（セクスタシー）

エピローグ

　それは、21世紀の中頃を過ぎた頃からだったろうか――。

　人々の間で、ある「ブツ」のウワサが、まことしやかに囁かれるようになった。

　そしてそれはウワサだけでなく、実際にその「ブツ」を投与された者が、少しずつ現れ始めた。その情報は更に拡散の速度を早め、勢いを押し留めることは不可能だった。

　かつてない快楽をもたらしてくれる、禁断の麻薬。

【SEXtasy】と呼ばれる、その「ブツ」を投与された者たちによって。

　権力者たちの造り上げた、権力者たちのための秩序は。徐々に徐々に、崩壊へと向かっていった……。