転生してしまった姉を持つ弟。
スイカに醤油をかけて。
プロローグ
「瑠玖。ちょっと、コンビニ行ってきてくれる?」
「なんでだよ?」
俺、篠原 瑠玖は悪態をつく。
「今ちょっと研究で忙しいのよ。」
「はぁ。仕方ないなぁ。」
そろそろ研究やめろよ。と心の中でも悪態をつきながら、渋々瑠玖はコンビニへ行く用意をする。
「ありがと。カップラーメンと適当にジュース買ってきて。」
姉さん、梓香はそれだけ言って机に向き直る。そんないつもの梓香の様子に内心溜息をつきながら部屋を出ていく。
「これだよな。」
コンビニに着いたあとは梓香の好きなカップラーメンとジュースを買っていく。適当にと言っていたが、梓香は自分の好きな物を俺が知っていると思っているのだろう。しかも、頼んだくせに、お金も俺が出せと言っているように何も渡されていない。
「一体、何ヶ月分溜まっていると思って…。」
梓香はこのように空腹になると、直ぐに俺に頼んでくる。いつも俺の自腹なので、そろそろ小遣いでは持たなくなってきていた。
「請求しなきゃな…。」
独り言を呟きながら、買った商品を持って帰る。
家の階段を昇って梓香の部屋へ行く。
「梓香。買ってきたぞ。」
いつもなら返事が来るはずなのに、全く返ってこない。研究に没頭しているのだろうか。
「梓香!!」
もう一度、今度は怒鳴るようにして言ってみても、返事は来ない。
「入るからな…。」
あまりに返事が来ないので、痺れを切らして部屋に入っていった。そして、言葉を失った。
「梓香…?」
梓香が、居ない。
「梓香?どうして?」
梓香の部屋には誰も、人一人もいなかった。
「嘘だ。」
梓香は部屋から出ないはず…。ずっと、研究をしていて。
クローゼットを開けても、部屋の外にある小さなベランダに行ってみても、梓香はいない。
「嘘…。」
呟いてもその返事は返ってこない。なぜ?その言葉が頭を回る。
梓香はいつも無駄に物を置いている机がある、そこで、いつも通り研究をしているのでは無いのか?
詳しくは知らないが、異世界へ行くための…。
…。それだ!
「研究!」
俺は梓香の机の上の書類を漁っていく。
「この方法で…?」
梓香の机には異世界へ行くためのゲートを開く方法という紙があった。
「いったのか…。梓香。」
思わず手に持っていた袋を落とす。梓香はろくに勉強しておらず、はっきり言って字が汚い。そんな梓香が書いた研究についての紙は読みにくく、一部が破れていた。俺はその紙を持ってある友人の元を尋ねることにした。
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