私、偉いので




「新しい学園を作りましょう」

 王との接見から帰って来たオリヴィアは、父である公爵にそう提案した。

「今の王立学園は、王の弟だか従兄弟だかが学園長でしょ?結局はあの馬鹿ウィッキーと繋がってるじゃない?そんな所に行きたくないわ」

 オリヴィアは滅多に怒らない。

 しかし、一度怒るとカラスのようにしつこかった。

 厨房の油汚れよりもしつこかった。

 怒りの記憶は、墓まで持って行くタイプだ。

 それは公爵家として、当然の事だから。



 ウィッキーの実家の侯爵家も、侯爵夫人の実家の公爵家も、王家も、オリヴィアは許すつもりはなかった。

 あの馬鹿を押し付けて来た責任がある者達には、その度合いによって報復をするつもりだ。


 何年掛かっても。


「私は筆頭公爵家として、その地位を、その権力を、知らしめなければいけませんものね。あぁ、次の婚約者は国外からにしましょう。確か二国から王子の婿入りが打診されてましたわね」

「うむ、どちらも良い条件だったな。どっちが良い?両方でも良いぞ」

「あら、それは有りなのですか?」


「男が当主になったら第二夫人が持てるのに、女が当主になったからと、なぜ一人しか駄目なのだ」

「そう言われればそうですわね。ちょっと二人とも優秀過ぎますが、国を跨げば変な事乗っ取りも考えないでしょう」

「むしろやってくれたら好都合なのだがな」


「間違いなく、見目の良い子供は出来ますわね」

「うむ。誰に似ても顔も性格もだろうな」



 ニヤリ。

 親子してそっくりな黒い笑顔を浮かべた。




 終


―――――――――――――――

中途半端で、すみません。

『権力を見せつける』『婚約者ざまぁ』としては、この辺が引き際かなと。


後、番外編としてウィッキーとミリアムのその後を数話アップします。

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