第179話 悲しみ・指輪

 水面に降る雨は私の悲しみの涙だった。

 死と隣り合わせの仕事をしていた人は、時化の海で命を落とした。

 あれから三年。時間は私を癒し、凍りついた時計は再び時を刻み始める。

 さようなら、貴方。

 私は指輪を海に投げる。

 真夏の太陽が水面に反射し、その眩しさに私は目を細めた。

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