第118話 どうせなら

 関西に来たのだから、どうせならと奈良公園に行った。

 広い敷地には木が生い茂り、夏でも心地よい風が吹く。

 春日大社に参拝していると、境内の近くに生き別れになった母を見た。が息を飲んだ刹那、陽炎のごとく消えた。

 この幻が私の運命を大きく変えることを、その時の私は知る由もなかった。

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