第117話 彼女・毛布

 彼女がベランダで毛布に包まり、夜空を見上げていた。明るい光が南西から北東に進む。彼女はそれに向かって手を振った。

 ISSから見えるわけがない。でも彼女は手を振る。そこにいる恋人に向かって。

 僕のときは見上げてすらくれないだろう。でも僕は君を探して見下ろす。傍らに彼がいるとしても。

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