散文

【月の海底】


満月の夜ってなんだか

死にたくなっちゃうの

クレーターに眠らせて

僕の身体のなかにある

70%の海水が呼応する

月の引力に惹かれてく



【たったひとくち】

月が呼ぶ、地が叫ぶ、嗚呼ほら

たった今、最期に残した足跡が

この大潮に呑まれていきました

僕の身体も残さず呑んでいって



【白波の迎合】

波が足跡を消していく

白波が光に弾け散って

泡が沸々と溶けていく

酸素が僕から逃げ出し

水が世界を満たしたら

魚の影に紛れて消える

海が生命を密封した時

空の入口を海底にみる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る