オムライスとバス

睡眠騎士

目に焼き付く青色

外は淡い藍色になっていた。日は上っていない。

窓のすぐ近くに置いておいた観葉植物の影だけが見える。

視線を戻し、ブリッジを押してモニターと睨み合う。

映し出されているのは新規開発された兵器の設計図と計算式。

幾度となく見たシミュレーションシステム。

炭酸が抜けたエネルギードリンクを喉に押し込み、データを保存した。

未だに慣れないケミカルな味が舌にじっとりと染みついている。

随分と長い間いがみ合っていたのか、身体中が痛い。特に眉間の上が痛い。

親指と人差し指で鼻筋の頂点を摘まみ、揺さぶるようにほぐす。和らぐ気配はない。

諦めてコンピューターをシャットダウンする。

重りのついた瞼が脳の核を強制終了させようと働く。

近くに置いてあったはずのカフェイン剤がない。

代わりに本来栄養を補給するためのサプリを取り、噛み砕く。

頭の引き出しにある苦みではない、なにかそれ以外の刺激が口腔を支配する。

腹の底にある酸がふつふつと煮え立ち、食道を突破しようと荒波を立てている。

左の手で押さえつけても聞く耳を持とうとしない。

慌てて洗面所へと走り、陶器のシンクに突っ伏す。

待っていましたと言わんばかりに液体は喉を逆流する。

それは二十秒間にわたり続き、純白の陶器は薄黄色に染まった。

胃が空になってしまった。

舌にへばりついたケミストリーな何かも押し流されてしまった。

古い形式の水道が軋むような金属音を立てて汚れを落としている。

蛇口のハンドルを時計回りに回した。驚くほど無音になった。

どうしよう。

一つ、ため息をつき、食堂へ歩を進める。

歩く中無駄に大きく配置された窓に顔を向ける。

「最悪。」

既に日が上っていた。

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